1999 Fiscal Year Annual Research Report
マメ科植物種子におけるプロテアーゼインヒビター遺伝子の発現制御に関する研究
Project/Area Number |
10760040
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
坂田 洋一 東京農業大学, 応用生物科学部, 講師 (50277240)
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Keywords | シカクマメ / プロテアーゼインヒビター / 転写制御 / ホメオドメイン / 栄養貯蔵器官 / 器官特異性 |
Research Abstract |
熱帯産マメ科植物であるシカクマメは,多量のKunitz型キモトリプシンインヒビター(WCI)を種子および塊根に,また少量のWCIを茎に蓄積する。WCI遺伝子の器官特異的な転写制御機構の解明を目的として,WCI遺伝子の転写開始点上流約1.0kbpのプロモーター領域に結合するタンパク質の探索を行った。その結果,酵母One-Hybridシステムにより,4種類のタンパク質cDNAを得た。これらのcDNAがコードするタンパク質はそのN末端側にシステインおよびヒスチジンに富む領域,C末端側にホメオドメインを有しており,新規タンパク質と考えられたため,これらをWBHD2 a,b,c,dと命名した。WBHD2は既知の植物ホメオドメインタンパク質との相同性は低かった,アラビドプシスおよびイネのゲノム中に相同性の高い配列が存在することから,種を越えて保存されている重要な因子であると考えられる。ノザンブロット解析により,WBHD2遺伝子群はいずれもシカクマメの種子および花芽で強く発現しているが,その発現パターンは種子の成熟段階で異なっていた。組み換えWBHD2タンパク質を用いてゲルシフト解析を行ったところ,WCI遺伝子プロモーターの複数位置に結合することが示された。WBHD2遺伝子群と相同性の高い遺伝子群が,分子生物学的研究のモデル植物であるシロイヌナズナに種を越えて見出されたことから,シロイヌナズナの各器官における4種のWBHD2相同遺伝子群のノザンブロット解析を行い,WBHD2の発現パターンがシロイヌナズナにおいても保持されているかを検討した結果,4遺伝子ともWBHD2遺伝子群と同様に花芽および種子で発現していた。また,シロイヌナズナにおけるWBHD2相同遺伝子群の器官特異的な機能発現に選択的スプライシングが関与していることが示唆された。
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