1998 Fiscal Year Annual Research Report
アミノアシル-tRNA合成酵素の基質認識機構の解明と蛋白質工学による改変と応用
Project/Area Number |
10760049
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝田 禎亮 京都大学, 農学研究科, 助手 (70263126)
|
Keywords | アミノアシル-tRNA合成酵素 / リジル-tRNA合成酵素 / ドメイン / Bacillus stearothermophilus |
Research Abstract |
アミノアシル-tRNA合成酵素の中には、触媒ドメインとは別にtRNA認識ドメインを持ち、それがtRNAとの主要な認識要素であるものがあり、リジル-tRNA合成酵素(LysRS)はこれに属する。そこで、tRNA認識ドメインの変換によるtRNA認識機構改変の可能性を探る目的として、L-リジンの活性化とtRNAへの転移反応におけるtRNA認識ドメインの役割を、Bacillus stearothermophilusのLysRS(B.s.LysRS)を用いて調べた。大腸菌LysRSとの比較により、B.s.LysRSの触媒ドメインとtRNA認識ドメインに対応する遺伝子をPCR法により増幅した。それぞれの増幅断片を制限酵素BamHIで処理し、発現プラスミドpET-11aのBamHIサイトに導入し、塩基配列を確認した。触媒ドメインとtRNA認識ドメインを含む発現プラスミドをそれぞれ大腸菌BL21に導入し、1mMIPTGにより誘導した結果、両ドメインとも可溶性画分に良好に発現した。これらを、硫安分画、各種クロマトグラフィーにより電気泳動的に単一に精製し、N-末端の20アミノ酸配列を確認した。HPLCによるゲル濾過解析の結果、触媒ドメインはダイマーで存在するのに対し、tRNA認識ドメインはモノマーで存在した。tRNA認識ドメインのUVスペクトル及び蛍光スペクトルは、塩基配列から予想された様にTrp残基を含まないことが確認できた。CDスペクトルの結果は、両ドメインのCDスペクトルの和が、B.s.LysRSのものとほぼ一致することから、両ドメインともに大きな主鎖の構造変化は起こっていないと結論した。一方で、B.s.LySRSに存在する2つのTrp残基は触媒ドメインに存在するが、その相対蛍光収量(λex=295nm,λem=340nm)はB.s.LysRSと触媒ドメインでは異なっていた。また、L-リジンの結合の際に観測されるB.s.LysRSのタンパク質蛍光の減少が、触媒ドメインでは全く観測されなかった。これらの結果は、断片化によってTrp残基近傍に微細な構造変化が生じたことを示唆していた。
|
Research Products
(1 results)