1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10760054
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
外山 博英 山口大学, 農学部, 助手 (60240884)
|
Keywords | ピロロキノリンキノン / PQQ |
Research Abstract |
ピロロキノリンキノン(PQQ)は、NAD(P)やフラビン類を利用しない脱水素酵素の補酵素である。テロシンとグルタミン酸が前駆体として同定されたが、それらがどのような反応過程を経てPQQへと変換されるのかは現在でも明らかにされていない。生合成に関与する6つないし7つの構造遺伝子が遺伝子配列から決定され、異なる微生物間での対応する遺伝子産物同士は相同性が高いが、それら以外の相同性の高い蛋白質はデータベース内にはほとんど見い出されず、どのような酵素または機能タンパク質であるのかはわかっていない。最近申請者らは、M.extorquens AM1を用いて、これらの遺伝子のうちの一つ(pqqC)の変異株が前駆体を蓄積し、この前駆体はPqqCタンパク質によってPQQに転換されることを示した。PqqCは生合成の最終段階を触媒する酵素であると考えられた。そこで、まず前駆体の構造決定を目的としてM.extorquens AM1のpqqC変異株より前駆体の精製をした。マススペクトルによる解析の結果、推定構造と矛盾しない結果が得られた。PqqC酵素反応はヒドロキシル化または酸素添加反応と推定された。現在推定された化合物の化学合成を依頼している。一方、PqqC酵素を大腸菌内で大量に発現させ、精製した。補酵素や金属イオンは検出されなかった。密閉容器中ではPQQ生成量が低下したので、酵素反応に分子状酸素の関与が示唆された。金属イオンの反応におよぼす影響について検討したところ、種々の2価の金属イオンでの阻害が観察されたが、2価のマンガンイオンでは活性化された。過酸化水素は反応を阻害した。これらの研究結果は日本農芸化学会大会(平成10年4月)、ゴードン国際会議(平成10年7月)で発表した。
|