1998 Fiscal Year Annual Research Report
C_1化合物資化性微生物に特異に存在する酵素の分子特性の解明
Project/Area Number |
10760061
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 豊和 岐阜大学, 工学部, 助教授 (90220657)
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Keywords | C_1化合物資化性微生物 / ギ酸脱水素酵素 / メタノール資化性細菌 |
Research Abstract |
C_1化合物資化性微生物はC_1化合物を資化するために独特なC_1化合物酸化系・資化系を有している。酵母のC_1酸化系酵素については機能と構造に関する研究が報告されているが、細菌ではメタノール脱水素酵素以外での知見はほとんどない。細菌のC_1酸化系に関与する金属非要求性NAD依存型ギ酸脱水素酵素(NAD-FDH)は活性が不安定で、酵素化学的性質およびその構造が明らかにされいるものはPseudomonas属細菌由来のNAD-FDHのみである。そこで、安定なNAD-FDHを有する細菌を検索し、本酵素を単一に精製し、酵素化学的性質を検討した。 集積培養によって分離したC_1化合物資化性細菌と保存菌株において安定なNAD-FDH活性を有する菌株をスクリーニングした結果、Hyphomicrobium sp.JC17がジチオスレイトールの存在下で活性が安定なNAD-FDHを有することを見出した。本菌株のNAD-FDHを5′-AMPセファロースアフィニティーカラムで効率良く高収率で電気泳動的に単一にまで精製した。精製酵素は55℃、30分間の熱処理によっても失活せず、これまでに知られるNDH-FDHより極めて安定性が高いことを明らかにした。また、ギ酸に対する親和性が強くKm値は1.06mMであった。種々のSH阻害剤によって顕著に活性が阻害されたことから、NAD-FDHは活性へのSH基が関与と酵素安定性との相関が示唆された。一方、菌体内でのNAD-FDHの発現調節機構を解明するために培養条件を検討した結果、培地にモリプデンを添加するとフェリシアン化カリウムを電子受容体とする異なるタイプのギ酸脱水素酵素が誘導され、ギ酸脱水素酵素の発現にモリブデンが関与することが明かとなった。
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