1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10760062
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
吉田 健一 福山大学, 工学部, 助手 (20230732)
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Keywords | 枯草菌 / Bacillus,subtilis / イノシトール / リプレッサー |
Research Abstract |
枯草菌のイノシトール分解系は真核生物の持つ代謝系とは全く異なることが示唆されていたが、遺伝子レベルでの研究は皆無に等しかった。申請者はこの分解系を担うiolオペロン(10のiol遺伝子より構成される)を発見した。このオペロンはイノシトールの添加により誘導されるプロモーターより転写され、IolRリプレッサーによって制御される。本年度はIolRのDNA結合様式に関する研究を優先的に進めた。また各iol遺伝子の機能同定を目指す研究にも着手した。 1. イノシトールオペロンのリプレッサー・オペレーター相互作用の解析 IolRリプレッサーとオペレーターの相互作用を、ゲルシフト法およびフットプリント法を駆使して詳細に調べた。その結果、11bpより成る繰り返し配列がIolRとの相互作用に必須であること、更にIolRはこの繰り返し配列を含む100bp近い広いDNA領域と相互作用し、この際DNAがIolRタンパク質に巻き付くようにして複合体を形成するという特異な結合様式を提唱するに至った[J.Mol.Biol.(1999)285,917-929]。 2. イノシトール分解系遺伝子の機能解析 iolオペロンの各遺伝子産物の機能推定と生化学的知見に基づく分解系のアウトラインを統合し、各遺伝子機能と反応段階との対応を推定した。そして各遺伝子の破壊解析の結果、10個のiol遺伝子のうちiolB,C,D,E,GがIolRに作用する誘導物質を生成するまでの反応段階に関与すること、またiolDとEの産物が第2段階反応を担うイノソース脱水酵素を構成すること、さらに誘導物質はiolC産物が担う反応により生じる化合物であることを示唆する知見を得た。来年度は更なる各iol遺伝子の機能同定研究を推進する方針である。
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