1998 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫類に見られる化学言語の進化とその多様性 特に社会性昆虫の情報化学物質を求めて
Project/Area Number |
10760067
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松山 茂 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (30239131)
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Keywords | 情報化学物質 / フェロモン / ミツバチ / ニホンミツバチ / セイヨウミツバチ / トウヨウミツバチ / ナサノフ腺 / 大顎腺 |
Research Abstract |
1) つくば市内でニホンミツバチの分封群6群を新たに誘引・捕獲した。飼育管理方法を工夫・改良し、次項の実験に用いることができた。現在、そのうち4群が越冬中である。 2) ニホンミツバチの女王蜂・雛蜂・働き蜂を採取し、各種分泌腺(ナサノフ腺、大顎線、針および付属腺、ワックス腺等)を摘出・抽出して、各分泌腺成分の同定を試み、各成分の化学構造をセイヨウミツバチのものと比較検討した。その結果、ニホンミツバチ女王蜂の大顎腺主成分として(E)-9-oxo-2-decenoic acidおよび(E)-9-hydroxy-2-decenoic acidを同定した。これら2成分はセイヨウミツバチ女王蜂の大顎腺主成分と一致した。ニホンミツバチ働き蜂(外勤蜂)の大顎腺からセイヨウミツバチ働き蜂にはない成分を主成分として検出し、機器分析及び有機合成により(R)-(-)-3-hydroxyoctanoic acid(3-HOA)と同定した。羽化直後の働き蜂にマーキングを施し、羽化後の日齢に応じて大顎腺成分に変化が見られるか否かを検討した結果、羽化後18日までは(E)-10-hydroxydecenoic acid(10-HDA)および10-hydroxydecanoicacid(10-HDAA)が主成分であったが、21日以降はこれら2成分が急激に減少し、3-HOAが主成分となった。セイヨウミツバチ外勤蜂の大顎腺主成分は10-HDAおよび10-HDAAであった。今後、ニホンミツバチ働き蜂の大顎腺成分の変化について分子レベルの研究へ展開したい。 3) トウヨウミツバチに属する他の3亜種(Apis cerana cerana,A.c.indicaおよびA.C.himalaya)について、各分泌腺成分を検討する機会を得た。ナサノフ腺、大顎線、針および付属腺の各分泌腺成分はニホンミツバチのそれらと類似し、ナサノフ腺および大顎腺成分はセイヨウミツバチの物と異なることが判明した。 4) マルハナバチ働き蜂の大顎腺からニホンミツバチ働き蜂にみられた3-HOA等を同定した。
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