1999 Fiscal Year Annual Research Report
新規・生理活性物質レピジモイドの作用機構に関する研究
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10760068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 小須弥 筑波大学, 応用生物化学系, 助手 (70292521)
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Keywords | レピジモイド / 成長促進 / オリゴサッカライド / 植物ホルモン |
Research Abstract |
アブラナ科植物のクレス発芽種子分泌液中から発見された新規・機能性オリゴ糖レピジモイドについて、これまでに植物界における分布、類縁体による構造活性相関、発芽時におけるレピジモイドの分泌パターンが明らかにされてきた。また、レピジモイドの生理作用としては、植物の成長促進(特にケイトウ芽生えの下胚軸伸長)活性、クロロフィルの合成促進作用及びセネッセンスの防止作用が明らかにされている。 本研究ではケイトウ以外の植物に対するレピジモイドの作用を調べるため、近年分子生物学のモデル植物として盛んに用いられているシロイヌナズナ(エコタイプ:WS)にレピジモイド処理を行い、顕著な下胚軸の伸長促進および子葉の拡大作用を有することを明らかにした。また、レピジモイドのエコタイプ(7種類)による成長反応(下胚軸の伸長促進作用および子葉面積の拡大作用)の差異を検討した結果、レピジモイド感受性および非感受性のエコタイプが存在することを明らかにした。また、レピジモイドの植物ホルモンとの相互作用を遺伝子レベルで解析するための基礎データを得るべく、既知の植物ホルモンに対するアッセイ系を用いて、詳細な生理作用の検討を行った。アマランサスの種子発芽、アベナ幼葉鞘の伸長、イネ第二葉鞘の伸長、ダイコン下胚軸の伸長、大麦種子中の還元糖生成、アマランサスのベタシアニン合成、大麦葉のクロロフィル合成およびアズキ葉柄エクスプラントの脱離に対する効果を調べたところ、特にサイトカイニンおよびジベレリンのアッセイ系のいくつかにおいて顕著な生理活性を示すことを明らかにした。これらの結果は、今後の遺伝子レベルからのレピジモイドの作用発現機構の解析へのアプローチとなる実験系の確立に大いに貢献するものと期待される。
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