1998 Fiscal Year Annual Research Report
フグ毒テトロドトキシンの生物機能解明を目指した化学合成研究
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10760071
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 俊夫 名古屋大学, 農学部, 助手 (90208158)
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Keywords | テトロドトキシン / ジデオキシテトロドトキシン / レボグルコセノン / 化学合成 / 全合成 / グアニジン / トリクロロアセトアミド / 生合成中間体 |
Research Abstract |
今年度は、簡単なテトロドトキシン(TTX)類縁体である5,11-dideoxyTTX全合成を以下のように完成した。糖質ブロモレボグルコセノンとイソプレンのDiels-Alder反応から8段階で大量合成可能になったTTXの全炭素骨格の揃った重要中間体から、トリクロロアセトアミドの隣接基関与を利用して立体選択的にC-8位に水酸基を導入した。次いで、末端ビニル基を手がかりにラクトン部分を構築しTTXのシクロヘキサン環状のすべての水酸基を揃えた中間体を効率よく合成した。TTX合成の最大の難関であるグアニジン環の合成は、トリクロロアセトアミドからウレア、カーボジイミドを経由する新しい方法を開発して行い、ベンジルグアニジンを合成した。この際、グアニジンの隣接墓関与による深刻な副反応を避けるため、ラクトンα位の水酸基を分子内アセタールとして保護することが必須であった。ベンジルグアニジンは、最近確立した脱ベンジル化反応によって脱保護し.て、5,11-dideoxyTTXの合成を完了した。この合成は光学活性体として初めてのTTX合成である。なお、5,11-dideoxyTTXはTTXの生合成中間体と推定されているが、天然からの単離は報告されていない。しかし、この合成サンプルを用いてそれを探索することが可能になった。また、本合成法によってグアニジンへ^<15>Nの導入が可能になったため、^<15>N標識体を用いた質量分析法によるTTXの生合成研究への道を開くことができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Nishikawa,T.: "Improved Conditions for Facile Overman Rearrangement." Journal of Organic Chemistry. 63・1. 188-192 (1998)
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[Publications] Bamba,M.: "Stereoelectronic and Steric Effects for Critical Oxidation to the Cyclohexane Derivatives for an Intermediate to (-)-Tetrodotoxin." Synlett. 4. 371-372 (1998)
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[Publications] Bamba,M.: "Stereoelectronic and Steric Control in Chiral Cyclohexane Synthesis toward (-)-Tetrodotoxin." Tetrahedron. 54・24. 6639-6650 (1998)
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[Publications] Nishikawa,T.: "Palladium Catalyzed Substitution Reaction of Allylic Derivatives with Tinacetylene." Bioscience,Biotechnology & Biochemistry. 63・1. 238-242 (1999)
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[Publications] Nishikawa,T.: "Synthesis of α-C-Mannosyltryptophan Derivative,Naturally Occurring C-Glycosyl Amino Acid Found in Human Ribonuclease" Synlett. 1. 123-125 (1999)