1998 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分の加工調理と代謝における分子レベルでの抗酸化性発現機構
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10760079
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
勝崎 裕隆 三重大学, 生物資源学部, 助手 (10262990)
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Keywords | 抗酸化物質 / 大根 / トリブトファン / 脂質過酸化 |
Research Abstract |
当年度の予定は、野菜の加工調理モデルで生成する抗酸化物質の単離を行うこと目的として行った。まず、野菜を、煮るという操作を行うにあたり、材料として、大根、人参、ゴボウ、シイタケを用いた。水抽出物と熱水抽出物とでそれぞれ抗酸化性を比較した結果、大根の熱水抽出物に活性の増大する傾向がみらえれた。そこで、大根を材料として採用することとした。次に大根を大量に熱水抽出した。各種カラムクロマトグラフィーにより精製を進めることとした。まず、XAD-2カラム採用し、精製することとした。水から20%刻みでメタノール含量を増やし、溶出させ精製を行っていった。活性測定は、リノール酸を基質とし、37℃で自動酸化させ、ロダン鉄法とTBA法で評価した。その結果、20%メタノール画分に強い活性が認められた。次に活性のあった画分を、ODS分取HPLCを用いて精製した。HPLCによる精製を繰り返し、活性を有する物質の単離に成功した。NMRを中心とした構造解析を行い、さらに旋光度も測定し、この物質はL-トリプトファンと同定した。トリプトファンはアミノ酸であり、フェノール性の水酸基を有していない。今までに知られている抗酸化物質の大部分はフェノール性水酸基を有するものである。従って、トリプトファンの活性発現には代謝等の関与が重要である。現在この物質の代謝に関して実験を進めているところである。その一方で、活性増大機構に興味が持たれ、水抽出と熱水抽出とで、トリプトファンの含量を比較検討している。また、トリプトファン以外にも、抗酸化物質を含でいるので、現在は、その精製も進めている。
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