1998 Fiscal Year Annual Research Report
交通網整備による交流人口の増加が山村活性化に与える影響について
Project/Area Number |
10760090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安村 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70280948)
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Keywords | 交流人口 / 山村活性化 / ワーキングホリデー / 雁坂トンネル / 埼玉県大滝村 / 県際地域 |
Research Abstract |
今年度は、埼玉県と山梨県を結ぶ国道140号線雁坂トンネルの開通による、埼玉県大滝村内における経済的影響をおおまかに把握することにつとめた。あわせてワーキングホリデー事業を導入することにより交流入口を増加させている宮崎県西米良村にて調査を行った。 雁坂トンネルの開通により埼玉県大滝村を通過する交通量は二倍強に増加した。これにより例えば道の駅にある温泉施設では昨年と比較して16%ほど利用者数が増加しており、雁坂トンネルの開通が大滝村にもたらした経済的影響は小さくないといえる。ただしこうした経済効果が長期間にわたって続いていく保証はなく、例えば温泉施設の利用者数はオープンの平成7年度以来、昨年9年度まで一貫して減少している。また、山梨県側には施設や駐車場のための土地が多く存在し、観光ないし産業誘致活動がより活発に行われていることも、それに拍車をかけている。 これに対して、トンネルなどの交通網整備、すなわちハード設備だけを整えるのでなく、ソフト面での取り組みにより交流入口を増加させているのが、宮崎県西米良村である。西米良村の主要産業にほおずきや柚子などの生産があるが、必要となる労働力が季節的に限定されている。これを解消するために、ワーキングホリデーすなわち県内に限らず県外からも農作業手伝いを希望する人を募集し、それを不足する労働力にあてる制度を一昨年度から導入した。まだこの制度を導入するのが同村ただ1村に限られることに起因するさまざまな課題も多くあるが、受け入れ農家には「今まで知らなかった話が聞ける」「その後もつきあいが長く続いている」などおおむね好評である。 地形的制約などを考えると大滝村においては西米良村のようなソフト面での取り組みが求められよう。このとき山梨県側と県際地域として一体となって取り組めば、規模の効果により、さらに雁坂トンネル開通効果を増大させることになる。
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