1998 Fiscal Year Annual Research Report
炭素安定同位体比δ^<13>Cを用いた、H_20・CO_2交換過程および水利用効率の解析
Project/Area Number |
10760096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小杉 緑子 京都大学, 農学研究科, 助手 (90293919)
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Keywords | 炭素安定同位体 / H_2O・CO_2交換過程 / 水利用効率 / 細胞間隙二酸化炭素濃度 / 気孔コンダクタンス |
Research Abstract |
植物側の熱・水・二酸化炭素交換過程の制御は気孔の開閉および葉による二酸化炭素同化(光合成)の二つのプロセスによって決定されているが、これに関係して、最近いくつかの観測結果から提唱されている説に、制御は細胞間隙二酸化炭素濃度と大気二酸化炭素濃度の比(Ci/Ca比)を一定に保つように行われている、というものがある。本研究ではCi/Ca比についての情報を集めることで、熱・水・二酸化炭素交換過程に関して非常に広範囲・広目的に適用できるシンプルな法則を提示する事を目指して、ガス交換速度および葉内部の炭素安定同位体δ^<13>Cの同時観測を行っている。 平成10年度は、様々な環境および植物条件を設定し、個葉について、熱・水・二酸化炭素交換速度を測定した。この測定には現有の携帯式光合成・蒸散測定システムを用いた。同時に葉の試料を採取し、炭素安定同位体δ^<13>Cの測定を行った。測定には協力研究機関所有の質量分析装置を使用した。これらのデータから、Ci/Ca比および水利用効率の瞬間値が、放射環境・温度・湿度といった環境条件や植物の生理的条件、あるいは種の違いなどによってどのように変化するのか、についての情報を集めた。測定は、光、温度、湿度、土壌水分条件等の異なる群落樹冠内の樹木、乾燥条件下に生育する樹木、様々な種間(樹木、草本、作物など)の比較、について行った。ガス交換チャンバーを用いる手法、および炭素安定同位体δ^<13>Cを用いる手法によって、植物のCi/Ca比および水利用効率の情報を集めた。
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