1998 Fiscal Year Annual Research Report
スギ花芽分化・形成ならびに開花機構におけるジャスモン酸の役割
Project/Area Number |
10760098
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
本間 環 鳥取大学, 農学部, 助手 (90294347)
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Keywords | ジャスモン酸(JA) / スギ / ELISA / IC / MS |
Research Abstract |
草本植物におけるジャスモン酸の処理効果は、根塊の肥大促進をはじめ多くの生理作用が明らかにされつつある。また、植物が障害を受けると直ちにジャスモン酸(JA)が発生するために、障害に対する情報伝達機能をもつ物質であることも明らかにされている。JAの生理作用で特に注目すべき点は、植物ホルモンのアブシジン酸と多くの生理作用で共通していることである。これまで、筆者らはアブシジン酸がスギ(Cryptomeriajaponica)の花芽分化・形成ならびに開花に関連のあることを明らかにしてきた。そこで、1)JAもスギの生殖生理現象と関連、2)花芽形成や開花に関するシグナル伝達物質の可能性を予測している。本研究では、1)処理による生理現象発現の有無、2)内生JAの検索および同定、3)花芽分化・形成ならびに開花時期におけるJAの動態を検討し、スギの芽分化・形成ならびに開花現象とJAの関連を明らかにすることが目的である。 上記の目的のうち平成10年度においては、まず、JAの分析方法の検討を行った。これまでのJAの分析方法においては、ラジオイムノアッセイ(RIA)により確認を行い、GC/MSによる同定、手定量が一般的であった。しかし、RIAはラジオアイソトープを用いるために取り扱いが困難となる。そこで、本研究ではエンザイムイムノアッセイ(ELISA)用いてJAの確認を行った。まず、(-)-JAにジシクロへキシルカルボジイミドとN-ヒドロキシこはく酸イミドを反応させて(-)-JA活性エステルを調整し、これとウシ血清アルブミンを結合させ免疫原とした。この免疫原をウサギに免疫を行い抗-ジャスモン酸メチル化抗体を得た。この抗体を用いたELISAでは数十pgの(-)-JA-Meが検出できた。また、LC/MSを用いることであまり精製を行わない試料でも、高感度の測定ができることが明らかとなった。
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