1998 Fiscal Year Annual Research Report
森林における落葉落枝の理化学的性質が土壌表層での窒素固定生物の活動に及ぼす影響
Project/Area Number |
10760099
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
嶋 一徹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (80274017)
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Keywords | 生物窒素固定 / 二次林 / 物質循環 |
Research Abstract |
森林生態系では林床に有機物が還元され、それが分解・無機化されたのち再び樹木に吸収されるという循環システムが構築されている。本年度の研究では、林床に還元された有機物をエネルギー源として利用する従属栄養性の窒素固定生物が、どの程度の窒素を土壌系に供給し、それが物質循環隣どんな影響を及ぼすのかについて落葉分解試験による検討を行った。 試験はナナメノキ、クスノキの優占2樹種の落葉を用いて金網法で行った。試験地は岡山大学付属半田山教育研究林内の広葉樹二次林に設置した。その結果、ナナメノキでは分解開始後3ヶ月目に生物窒素固定活性が最も高くなった。この段階はベンゼン-エタノール可溶性物質と熱水可溶性物質が多く残存している時期であることから、乾性褐色森林土に位置する本調査地では、落葉表面に残存するロウ、ワックスが落葉の乾燥を防ぎ、窒素固定に関与する微生物群の生育に好適な環境を提供するために高い活性が認められるのであろうと考えられた。これに対して、クスノキでは更に分解が進んでから活性の増加が認められた。両樹種の窒素固定活性と分解にともなうCN比の変化は一致していないため、それ以外の因子が窒素固定活性に関与していると考えられた。この点に関しては研究2年目に検討を加える予定である。 また、調査林分では当年落葉の分解にともなう生物窒素固定量がhaあたり0.521kgと見積もられたが、その大半がナナメノキの落葉において行われていることが判明した。
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