1999 Fiscal Year Annual Research Report
リグニン生合成におけるペルオキシダーゼと4-クマル酸:CoAリガーゼの役割
Project/Area Number |
10760106
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
堤 祐司 静岡大学, 農学部, 助教授 (30236921)
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Keywords | リグニン / 生合成 / ペルオキシダーゼ / 4CL / 基質特異性 |
Research Abstract |
1.ペルオキシダーゼ遺伝子の単離と解析 これまでに報告されているペルオキシダーゼのアミノ酸配列を基にPCRを行い、ペルオキシダーゼ断片(389bp)を増幅した。これをプローブとして用い、ポプラカルスのcDNAライブラリーをスクリーニングした。その結果、得られたペルオキシダーゼクローンの一つは、ほぼ完全長で927bpのオープンリーディングフレームを含み、これまでに知られているポプラのアニオン性ペルオキシダーゼと高い相同性を有していた。本遺伝子はポプラカルスおよびポプラ木部の両方で発現が確認された。一方、ポプラカルスからペルオキシダーゼアイソザイムを精製し、それらのアミノ酸配列を検討した。 2.アンチセンス4CLポプラの作製と選抜 ポプラ4CL遺伝子(4CL1と4CL2)をカリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターおよびxylem特異的発現プロモーターの下流にアンチセンス方向に接続した4つのアンチセンスコンストラクトをアグロバクテリウム(LBA4404)を用いる形質転換系よりポプラに導入した。カナマイシンを含む選抜培地上で形質転換体を選抜し、最終的に形質転換体13個体を得た。これらの形質転換体の中で6個体は4CL活性がコントロールに対し約90%程度抑制されていた。これら4CL活性が抑制された個体を含む、全ての形質転換体のリグニン分析を行った結果、形質転換体のリグニン含有量やシリンギル/グアイアシル組成比に有意な差は認められず、リグニン生合成における4CLの制御的機能は小さいことが示唆された。
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