1999 Fiscal Year Annual Research Report
耐病性魚作出の基礎的研究:特に自然免疫遺伝子の構造と機能解析
Project/Area Number |
10760115
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮田 雅人 三重大学, 生物資源学部, 助手 (30273353)
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Keywords | NRAMP / 生体防御 / 耐病性 / 自然免疫 / マクロファージ / 遺伝子マーカー / マダイ / 養殖 |
Research Abstract |
養殖の現場において特定の親魚に由来する魚群は各種疾病に耐性を持つが知られており、その原因は非特異的な生体防御機能(自然免疫能)に関与する遺伝子座の変異にあることが示唆されている。そこで本研究では選抜育種用の耐病生遺伝子マーカーの確立を目指して、マダイから自然免疫能に関与しマクロファージの膜表面に特異的に発現する自然免疫調節マクロファージタンパク質(NRAMP)遺伝子を分離し、解析を行った。 申請者は本研究において、ホ乳類および鳥類のNRAMPを比較して保存領域についいてPCRプライマーを作製し、マダイ脾臓からNRAMPのcDNAを得た。さらにマダイ脾臓のcDNAライブラリーをスクリーニングし、全長をコードするクローンを得た。得られたクローンは約2kbのオープンリーディングフレームを持ち、ここに60KDa強のタンパク質がコードされると考えられた。ホ乳類からは役割および体内分布の異なるタイプI、タイプIIの2種類のNRAMPが得られているが、今回得られたマダイNRAMPはマクロファージに局在するタイプIにより高い相同性を示した。近年クローン化されたミノー、コイ、ニジマス、およびゼブラフィッシュのNRAMPは互いに90%以上の相同性を示すが、本研究でクローン化したマダイNRAMPはこれらの魚類に対して80%前後の相同性を示した。魚類は陸棲生物が出現する以前にいくつかの群に分化しているが、このことからマダイはコイ目魚類やサケ科魚類とは異なる系統に属するものと思われた。 遺伝子マーカーの分離を目的として、日本産マダイ2系統、および韓国産マダイ1系統のゲノムからNRAMP遺伝子をクローン化し、それぞれ配列を調べたが、これらサンプル間においてアミノ酸の置換につながる変異を見いだすことは出来なかった。今後有用なマーカーを求め、さらに様々な系統を調査する必要がある。 (以上、投稿準備中)
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