1998 Fiscal Year Annual Research Report
海藻の実験生物化のための凍結保存によるカルリャーコレクションの樹立
Project/Area Number |
10760117
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
桑野 和可 長崎大学, 水産学部, 助教授 (60301363)
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Keywords | 凍結保存 / 液体窒素 / コンブ目 / エチレングリコール / グリセロール / プロリン |
Research Abstract |
産業上最も重要な藻類の一つである褐藻コンブ目藻類の配偶体の凍結保存を試みた。マコンブおよびナガコンブ,ガゴメ,クロメ,ツルアラメ,ワカメの雌雄配偶体を材料とした。様々な凍害防御剤を単独または混合して凍結媒液を調整した。配偶体を凍結媒液に懸濁し,一旦-40℃までゆっくりと冷却した後,液体窒素温度まで急速冷却した。解凍後,エリスロシン染色により細胞の生死を判定して生残率を求めた。 その結果,凍害防御剤を単独で用いた場合,マコンブおよびナガコンブ,ガゴメ,クロメ,ツルアラメにはエチレングリコールが最も効果的であった。最適濃度は,マコンブおよびナガコンブ,ガゴメ,ツルアラメにはエチレングリコールが最も効果的であった。最適濃度は,マコンブおよびナガコンブ,ガゴメ,ツルアラメでは10%,クロメでは5%であった。一方,ワカメにはグリセロールが最も効果的であり,最適濃度は10%であった。エチレングリコールやグリセロールに他の凍害防御剤を併用してみると、いずれについても10%プロリンた場合には生残率が上昇した。以上の結果から,マコンブおよびナガコンブ,ガゴメ,ツルアラメについては10%エチレングリコールと10%プロリンの組み合わせ,クロメについては5%エチレングリコールと10%プロリンの組み合わせ,そしてワカメについては10%グリセロールと10%プロリンの組み合わせが最も効果的であること明らかとなった。生残率は種および性によって異なり,解凍直後に評価した場合には56〜75%であった。解凍1週間後に再評価してみると生残率はやや低下したが,42〜69%であった。
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