1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10760121
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小島 隆人 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60205383)
|
Keywords | ニジマス / カニュレーション / 血液分析 / グルコース / 乳酸 / 生体負担度 |
Research Abstract |
刺し網漁具に羅網した魚のモデルとして、ニジマスの胴周部を予め荷重と伸びの関係を求めておいたゴムバンドで締め付け、連続的な採血による血液分析によって締め付け時および解放後の生体負担度を推定する実験を現在進行している。連続的な採血はニジマスの背大動脈へのカニュレーションにより行っているが、本年度の実験ではニジマスから48時間以上連続的に血液を採取することに成功している。カニューレ装着後48時間の安静時間を経た供試魚の胴周部を前述のゴムバンドで締め付け、数時間経過後このバンドを切断して解放し、解放後も連続的に採血を行った。得られた血液の血漿成分を用いてグルコース,尿素窒素,および乳酸を定量した。 カニューレ装着時には、ハンドリング等の影響によってグルコースが一時的に増加し、乳酸値もやや高くなる傾向にあったが、48時間程度の安静時間によってこれらは通常低下した。安静状態に戻ったニジマスの胴周部をゴムバンドにより締め付けると、グルコース、乳酸ともに増加し始め、バンド周辺部には鬱血が見られた。特に締め付け解放後も回復せずに死亡した個体の乳酸値は、締め付け解放後も急激に増加し続けた。これらのことから、一定荷重以上の締め付け刺激を受けた魚は、ストレスが蓄積している状態であるばかりでなく、苦悶時の激しい運動により乳酸の蓄積も著しく、体内のイオンバランスの変調なども引き起こしているものと推測される。今後締め付け力および締め付け時間を変化させながら実験を継続していく予定である。
|