1998 Fiscal Year Annual Research Report
魚類における前駆体型コラーゲン分解酵素の活性化機構に関する研究
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10760128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助手 (60263125)
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Keywords | tele ost / MMP / 肉質 / プロテアーゼ / ヒラメ |
Research Abstract |
ヒラメ筋肉から抽出した、RNAをテンプレートとしてRT-PCR法により、筋肉組織で発現している3種のMMP遺伝子の部分断片をクローニングした。その後、cDNAライブラリーを用い、それらの全塩基配列を決定したところ、他生物で既知のMMP2、MMP9およびMMP13と高い相同性を示したため、これらをj f MMP2,j f MMP9,j f MMP13とした。これらMMPのcDNAをほ乳類培養細胞株であるCOS7に導入し、大量生産させ基質特異性を検討したところj f MMP2,j f MMP9,は強いゼラチン分解活性を示したが、j f MMP13では、弱いゼラチン分解活性を示した。また、いずれのMMPもカゼインを分解しなかった。各MMPの発現部位をノザンブロッティングにより解析した結果、j f MMP2は、脳、骨格筋、エラ、心臓、胆のう、腸、腎臓、脾臓、精巣、卵巣で発現が見られ、特にエラ、心臓、腎臓、精巣で強い発現が観察された。一方、j f MMP9とj f MMP13は、いずれもエラ、心臓、腎臓、脾臓で特異的な発現が見られた。 以上の結果から、以下のことが明らかとなった。筋肉組織では、3種のMMPが発現している。具体的には、全組織で広く発現されているj f MMP2および血液を多く含む組織または造血組織に強く発現するj f MMP9およびj f MMP13である。魚肉の軟化現象において、いわゆる“血抜き"によりその速度が遅らされたり、その程度を軽減されることが知られている。このことから、ヒラメ筋肉の軟化現象にはj f MMP9およびj f MMP13の関与の可能性が示唆された。
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