1998 Fiscal Year Annual Research Report
農協における高齢者福祉活動の評価と今後のあり方に関する研究
Project/Area Number |
10760136
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
柴垣 裕司 静岡大学, 農学部, 助手 (40260583)
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Keywords | 農協 / 高齢者福祉活動 |
Research Abstract |
本年度における研究目的は、農協における高齢者福祉活動の評価方法を確立し、事例分析により現在までの活動の評価を行い、高齢者福祉活動モデルの作成を行うことであった。農協における高齢者福祉活動に関する参考文献がほとんどないため、主に実態調査により農協の同活動への取り組み状況等を検討した。その結果、介護保険制度の詳細が不明な現段階においては、採算性への配慮から事業への取り組みに消極的な農協が多く、また、既取り組み農協においても行政の補助等がなければ事業として継続し難いことが明らかとなった。補助を受けるためには、法律等で定められた要件を満たす必要があるため、ノウハウや人員、資本等に制約の多い農協では、規模の大きい介護施設や複数のサービス領域をカバーできる複合施設の建設を避け、比較的投資額の少ないデイサービス事業等から取り組みを開始している。しかし、農協の性格上、最も取り組みが容易であると考えられたホームヘルプサービス事業への取り組みが、今ところ非常に低位であることも明らかとなった。これは、ヘルパー養成は順調に進んでいるものの、ヘルパーの組織化と実際業務の仕組みを確立できていないためである。 以上、農協の取り組み状況を簡単に述べたが、施設等のハード面は法律等で規定されている部分が多いため、同活動の評価は主に人材やソフト面に重点を置かざるを得ない。その評価は非常に困難であるが、農協に業務を委託している市町村での聞き取り調査によれば、常勤看護婦がいない、組合員組織があるにも係わらずホームへルプサービスを供給していない等、現状での農協の取り組みは不十分であると考えられる。しかし、高齢者介護において、大きな問題点の一つは、需要者側のサービス利用に対する抵抗感の存在である。その点、農協は地域に密着しており、需要者側も利用しやすいと思われるため、同活動における今後の充実が望まれる。
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