1998 Fiscal Year Annual Research Report
積雪地域の閉鎖性水域における酸性化シミュレーションモデルの開発
Project/Area Number |
10760139
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
梶原 晶彦 山形大学, 農学部, 助手 (60291283)
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Keywords | 積雪地域 / 酸性雨 / 閉鎖性水域 / EC / 硝酸イオン濃度 / 硫酸イオン濃度 / 融雪 |
Research Abstract |
山形県庄内地方においては、閉鎖性水域の水質観測調査が現在までほとんど行われておらず、特に本研究で対象とする酸性化の指標となるような溶存態物質の観測例は皆無であった。そこで今年度はダム貯水池1カ所、農業用ため池5カ所を対象として、5月〜12月の期間、溶存態物質を中心とした水質調査を行った。また降雨の水質調査を平行して行い、降雨水質が閉鎖性水域水質に与える影響を検討した。現在まで得られた主な知見として以下の4点が挙げられる。(1)山間部のダム貯水池及びため池では年間を通してEC値(平均31.3μS/cm)及び各溶存態イオン濃度が低かった。しかし集水域の小さいため池では春先に一時的にpH値が低くなっており、酸性雪の融解の影響を受けている可能性が考えられた。(2)最も低地にあるため池では、EC値(平均92.1μS/cm)及び硫酸イオン濃度が比較的高かった。このため池は反復利用目的のため池であり調査期間の大部分が灌漑期間であったことから、水田を中心とする流域から溶出してきたイオンが多く含まれるものと考えられた。(3)鉛直分布調査では水深5m以上のため池では底層部において硫酸イオン濃度、硝酸イオン濃度の大きな変動が見られ、還元状態における底土からの溶出の影響と考えられた。(4)降雨水、流入水、流出水、池内水の硫酸イオン、硝酸イオンについて収支解析を行った結果、山間部の貯水池及びため池では硝酸イオンの流出負荷量が流入負荷量より小さく、硫酸イオンでは逆に大きかった。平地部のため池ではどちらのイオンとも流出負荷量が流入負荷量より大きかった。 今年度は調査期間が5月からであったため、融雪時における調査が不十分なものとなった。現在融雪期の調査を進めており、酸性雨・雪による閉鎖性水域の酸性化への影響について更なる検討を行う予定である。これらの結果がまとまり次第、シミュレーションモデルの検討を進める予定である。
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