1999 Fiscal Year Annual Research Report
応力・ひずみ制御法による地盤の変形応答解析および実験
Project/Area Number |
10760141
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木山 正一 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (20293920)
|
Keywords | 構造を有する土 / 定速Ko圧縮試験 / 弾塑性構成式 / 塑性軟化則 / 散逸関数 |
Research Abstract |
塑性ひずみ制御では、その数学的記述の限界は塑性負荷条件に制約を受けないことを前年度までに理論的に示した。さらに塑性ひずみ制御特性を生かした水〜土骨格連成解析の可能性を有限要素法を用いて確認した。しかし、ここで用いられる土の弾塑性構成式は練り返し土を対象とするため、一般土への拡張性が乏しい問題が残る。そこで本年度においては、一般土特性として構造を有した土の弾塑性構成式を砂の実験事実をもとに、熱力学的解釈に基づいて誘導した。詳細は以下の通りである。 砂粒子のパッキングは広範な間隙比をもつ土構造を形成しうるため練り返し土にはない力学挙動が予想される。定速Ko圧縮実験の結果、初期間隙比が小さく密なパッキングの供試体ほど、低拘束圧領域での体積圧縮率は小さくなった。しかし、初期パッキングによって保持された粒子構造は荷重の増大によって壊され、最終的には初期の間隙比構造に依らない体積圧縮挙動を示すことが明らかとなった。 以上の挙動を示す土の弾塑性構成式を定式化するため、粒子のパッキングによって形成された間隙構造が荷重によって不可逆的に壊される塑性変形過程を定義する。とくに高間隙比下での体積圧縮特性を表現するために塑性軟化則を与える。また高間隙比の砂は限界状態以前にピーク強度に達することも特徴である。以上からエネルギー散逸が応力比に依存して生じると仮定し、応力比に依存する度合いが構造の消失によって表されると考えた。応力比は対象とする系において巨視的に観測される量であり、外部状態変数であるひずみに対応する。つまり構造を有する土の散逸は外部状態変数と内部状態変数の関数で定義し、非関連流動則による弾塑性構成式が導かれた。 提案モデルは上述のKo圧縮実験挙動を忠実に記述でき、発展として緩い砂のような液状化現象も非排水せん断試験シミュレーションによって予測可能なことが示された。
|
-
[Publications] 木田,塚田,田中,青山: "応力依存型散逸関数を用いた構造を有する砂の弾塑性構成式"応用力学論文集. 2. 335-346 (1999)
-
[Publications] S.Kiyama and T.Hasegawa: "Controllability of deformation by plastic strain control and stability problem"Prefailure deformation characteristics of geomaterials. 1. 603-610 (1999)