1998 Fiscal Year Annual Research Report
帯水層熱エネルギー貯留技術における効率的運用のための基礎研究
Project/Area Number |
10760142
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 公人 京都大学, 農学研究科, 助手 (30293921)
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Keywords | 帯水層熱エネルギー貯留 / 熱移動 / 水分移動 / 水蒸気移動 / 自然対流 / 蓄熱効率 / 熱損失 |
Research Abstract |
地下の帯水層中に温水あるいは冷水を貯留し,その熱エネルギーをそれぞれ暖房や冷房などの熱源として利用する帯水層熱エネルギー貯留技術は自然エネルギーの有効利用技術の一つとして注目しうるものである.本研究では,貯留量の面から有効な帯水層を想定し,さらに現場に即したものとして,レキと細砂で成層化させた土層カラムを用いた熱・水分移動実験を行い,温度・圧力木頭・熱フラックスの測定データから,特に帯水層の蓄熱効率に注目して考察した.また,この実験の数値解析を行う前段階として,砂層中の熱・水分同時移動現象のシミュレーションプログラムを構築した.得られた知見を以下に述べる. 1. 下端を高温,上端を低温に設定した場合,水で飽和されているレキ層中では,液状水の自然対流とそれに伴う熱移動が生じることが推察された.よって,地下の帯水層に温水を貯留する場合,温度勾配が大きく自然対流が生じるような間隙の大きい帯水層においては熱対流による熱移動(熱損失)が大きく,帯水層の蓄熱効率は低下することが予測された. 2. レキ層が不飽和状態にある場合には,温度勾配による水蒸気移動(水蒸気拡散に加え,空気の対流に伴う水蒸気移動も含む)が水分移動の支配的要素となることが示唆された.蓄熱効率の面から見ると,水蒸気移動に伴う熱移動によって熱損失は促進されるものと思われた. 3. 砂層中の熱・水分同時移動現象は,水分移動成分として液状水移動と水蒸気拡散,熱移動成分として熱伝導,水分移動に伴う顕熱輸送,水蒸気拡散に伴う潜熱輸送をそれぞれモデル化することによって表現できることを示した. 以上のように,粒径の大きなレキ層中では自然対流や水蒸気移動に伴う熱移動が生じて蓄熱効率の面からはマイナス面が大きいことが明らかになった.しかし,レキ自体の熱伝導性は砂層に比べて小さい.この両者の得失に関して数値解析をレキ層に発展させることにより解明する予定である.
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Research Products
(1 results)