1998 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞刺激ホルモンβ鎖mRNA3'末端非翻訳領域の役割
Project/Area Number |
10760167
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
新井 浩司 東京農工大学, 農学部, 助手 (70293016)
|
Keywords | 卵胞刺激ホルモン / メッセンジャーRNA / 転写後調節 / インヒビン / アクチビン |
Research Abstract |
TGFβスーパーファミリーに属するインヒビンとアクチビンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)β鎖メッセンジャーRNA(mRNA)の発現量を調節しているが、その主な機構は転写後調節であることが示唆されている。また、FSHβ鎖mRNAには、特徴的な長い3'末端非翻訳領域(3'UTR)が存在しており、この3'UTRがFSHβ鎖の転写後調節に関与しているものと推察される。本研究は、FSHβ鎖mRNA転写後調節におけるFSHβ鎖mRNA3'UTRの関与明らかにするものであるが、これまでに以下の結果が得られた。 1, 完全長のラットFSHβ鎖cDNAクローニングし、塩基配列を解析してヒトとウシのFSHβ鎖3'UTRと比較したところ、mRNA不安定化シグナルのコンセンサス配列を持つ部位がヒト、ウシ、ラットの間で保存されていることが明らかとなった。 2, サイトメガロウイルスプロモーターの下流にラットFSHβcDNAをつなぎ、これを下垂体細胞由来の細胞株であるαT3-1細胞、RC-4b/c細胞に導入した。これらの細胞にインヒビン、アクチビンを作用させたときのFSHβ鎖mRNAの発現量の変化を解析したが、FSHβ鎖mRNAの発現量に変化は観察されなかった。 3, αT3-1細胞をインヒビン又はアクチビンで刺激した後、それらの細胞のポリゾームを分離してin vitro RNA degradation assayを行ったが,αT3-1細胞のポリゾームによるFSHβ鎖mRNAの分解速度はインヒビン、アクチビンの添加により影響されることは無かった。 このように、これまでの結果からはFSHβ鎖のmRNA調節におけるFSHβ鎖mRNA3'UTRの関与は明らかには出来なかったが、現在ラット下垂体初代培養細胞のポリゾームを用いた実験を予定している。また,マウスFSHβ遺伝子のプロモーター領域を用いて転写調節についても検討する予定である。
|