1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経ペプチド(VIP, PACAP)による鶏の膵島ホルモン分泌制御機構の解明
Project/Area Number |
10760168
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平松 浩二 信州大学, 農学部, 助手 (80238386)
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Keywords | 神経ペプチド / ニワトリ / 膵島ホルモン / 神経支配 |
Research Abstract |
glucagon/secretin/VIPファミリーの代表的ペプチドである血管作用性ペプチド(以下VIP)とPACAPによるニワトリ膵島ホルモンの分泌制御機構を解明することを目的に本研究を行った。まず免疫組織化学的手法によりニワトリ膵臓内におけるPACAP含有神経の分布を明らかにした。PACAP含有神経節細胞は、小葉間及び葉間の結合組織内に存在する神経節に含まれていた。神経節細胞の約90%がPACAPに免疫陽性反応を示した。外分泌では、PACAP含有神経線維は、細動脈周囲及び膵管の固有層とりわけ上皮直下に密に観察された。また腺房間にも多数の含有線維が走行していた。内分泌部では、インスリン産生細胞及びソマトスタチン産生細胞から成るB島の周縁部及び島内部にPACAP含有神経が分布しているのが認められた。グルカゴン産生細胞とソマトスタチン産生細胞から成るA島内にPACAP含有神経は認められず、周辺部に僅かに見られる程度であった。PACAP含有神経とVIP含有神経の分布を比較すると似通っていたことから、二重蛍光抗体法により両ペプチドの共存について検討した。これによるとどちらかのみを含有する神経節細胞はほとんど存在せず、両ペプチドはほぼ100%の割合で共存していることが分かった。また神経節細胞の約10%は両ペプチドに免疫陰性反応を示し、膵分泌機能に対する他の神経ペプチドの関与が示唆された。以上の結果よりニワトリ膵臓においてPACAP含有神経は内在性の起源を有し、VIP同様外分泌とインスリン産生細胞の分泌制御に関与することが明らかとなった。また両ペプチドは同一神経内で共存し、互いの作用を補っていることが示唆された。これらの結果は外国雑誌に投稿準備中である。なお平成10年度に計画していたニワトリ膵臓の器官培養については現在実施検討中である。
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