アポトーシスを用いた腫瘍の放射線感受性試験に関する研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10760176
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 廉澤 剛 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 講師 (70214418)
• Keywords: 腫瘍 / 放射線療法 / アポトーシス / 放射線感受性試験 / 組織培養 / TUNEL法 / 犬

Research Abstract

放射線療法は、非侵襲的でかつ機能温存が可能な腫瘍の治療法として優れているが、この療法の適用の是非はヒトにおいても臨床的経験に基づいているにすぎない。放射線による腫瘍細胞死は、アポトーシスを経て生じることが最近明らかにされており、またこのアポトーシスが1日以内に生じると考えられている。
そこで本研究においては、ヒトの悪性腫瘍の病態に非常によく類似する犬や猫の各種自然発生腫瘍の細胞や組織をヌードマウスに移植し複数の担癌動物モデルを作成し、このモデルを用いて放射線誘発性のアポトーシスの頻度と放射線治療効果を比較し、各腫瘍の放射線に対する感受性を迅速かつ正確に予測できないかどうかを検討する。現在のところ、犬の自然発生腫瘍を用いて、悪性黒色腫、肥満細胞腫、滑膜肉腫、骨肉腫の担癌動物モデルを作出することが可能となり、これらのモデルに対して1回線量4Gy、週3回、総線量48G胆放射線治療を実施し経過を観察している。一方、放射線治療前の採材組織から放射線誘発性アポトーシスを検出する実験に関しては、採材した腫瘍組織の吸収線量が4Gyあるいは12Gyとなるようにin vitroでX線を照射し、さらに2、4、6および12時間の再培養後に固定しTUNEL法によりアポトーシス細胞を検出する実験を進めている。
平成11年度は、これらの実験を終了させ結果を比較し、本方法の有用性について検討する計画である。