1998 Fiscal Year Annual Research Report
ブロイラーにおけるカンピロバクターのキノロン系抗菌剤耐性化メカニズムの検討
Project/Area Number |
10760180
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中馬 猛久 鹿児島大学, 農学部, 助手 (90201631)
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Keywords | カンピロバクター / ブロイラー / キノロン耐性 / gyrA遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では、鹿児島県内のブロイラーより分離されたC.jejuni/coliにおいてナリジクス酸(NA)耐性菌の浸淫状況を調査した。また、in vitroで作製したキノロン耐性株、ブロイラー由来キノロン耐性株に対する、薬剤の最小発育阻止濃度(MIC)を測定すると共に、耐性菌のgyr A遺伝子上の3箇所の点変異部位を検出することにより、薬剤耐性獲得のメカニズムについて検討を行なった。食鳥処理場でブロイラーの盲腸を採材し、内容物からC.jejuni/coliを分離した。150検体中39検体(26.0%)からC.jejuni/coliが分離され、その内7検体(4.7%)がNA耐性を示した。これより、プロイラーにおいてもNA耐性C.jejuni/coliが広汎に浸淫していることが明らかになった。プロイラー由来NA耐性株24菌株について、NA、シプロフロキサシン(CPFX)、ノルフロキサシン(NFLX)、オフロキサシン(OFLX)を用い感受性ディスク試験とMICの測定を行なった結果、それぞれのMICは大きく異なり、感受性ディスク試験では同じ耐性パターンであっても耐性の程度には違いがあることが判明した。NA、NFLX、OFLXで作出したin vitro耐性株14菌株とブロイラーから分離した上記の7菌株で、gyrase A遺伝子Ala-70、Thr-86、Asp-90の点変異の検出を行なった。3株は点変異が認められなかったが、1株はAsp-90に、10菌株はThr-86に点変異が認められた。これらの3グループは、3剤に軽度耐性、NFLXとOFLXに高度耐性、3剤全てに高度耐性であり、点変異の箇所、有無と耐性の程度が関連する可能性が示唆された。また、ブロイラー由来7菌株は、すべてThr-86に点変異が認められ、NFLXとOFLXに高度耐性であり、NAについては1株が高度耐性、2株が中等度耐性、その他の4株は軽度耐性であった。野外株のNFLXとOFLXに対する高度耐性の度合には開きがあり、これら3点以外の点変異または点変異以外のメカニズムの関与が考えられた。
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