1998 Fiscal Year Annual Research Report
アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いたアレルギー発症の分子機構に関する解析
Project/Area Number |
10760190
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 正次 広島大学, 工学部, 助手 (90294537)
|
Keywords | アレルギー / アトピー性皮膚炎 / NC / Ngaマウス / ノックアウトマウス / アラキドン酸カスケード |
Research Abstract |
本研究において筆者は、アトピー性皮膚炎モデルマウスであるNC/Ngaマウスの系を用い、A.アトピー性皮膚炎発症に関与する分子群の単離・同定とその分子細胞免疫学的性状に関する解析、及び B.ノックアウトNCマウスの作製とそれを用いた病態制御機構の解析、の2課題を平行して推進することにより、同疾患の原因となっている分子機構を明確にすることを目標としている。 まず、前者について本年度では、皮膚炎発症マウスと非発症マウス間でのsubtractionによるatopy-responsible geneの検索を試みた。その結果、種々のinducible-mRNAの存在が明らかとなった。現在これらの分子群のクローニング、Northern法による発現誘導確認ならびに構造解析を進めているが、興味深いことに炎症反応に重要な役割を担うシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)mRNAの誘導が発症マウスにおいて観察された。また筆者は同マウスにおいて、皮膚炎発症に伴う血中アラキドン酸レベルの上昇ならびにアトピーとの相関が取りざたされるとともにIL-12産生抑制を介したTh1サブセット抑制効果が報告されているプロスタグランジンE2(PGE2)レベルの構成的上昇を見いだした。これらの結果より、COX-2を起点とするプロスタグランジン系アラキドン酸カスケード活性化の同マウスの病態進行における関与が示唆された。 一方、ノックアウトNCマウス作製については、CD8陽性T細胞ならびにVα14-TCR陽性NK-T細胞の病態制御における役割を明らかにする目的で、β-2-microglobulin(β-2-m)欠損NCマウスの作製に着手した。まず、B6back-groundのβ-2-m欠損マウスとNCマウスとを交配し、ヘテロFlマウスを得た。Flにおいては授乳期における発育遅延を若干認めたが、その後は健康に発育した。現在、同FlのNCへのbackcrossとPCR/Southern法によるgenotype判定を組み合わせたF2以降のへテロマウスの取得を試みている。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Aki T: "Lipid composition of a newly isolated polysaturated fatty acid-producing fungus,Achlya sp.ma-2801." Journal of Fermentation and Bioengineering. 86(5). 504-507 (1998)
-
[Publications] Fujikawa A: "Altered antigenicity of M-177,a 177 kD allergen from the house dust mite Dermatophagoides farinae,in stored extract." Clinical and Experimental Allergy. 28. 1549-1558 (1998)
-
[Publications] Aki T: "Molecular cloning and functional characterization of rat delta-6 fatty acid desaturase." Biochemical and Biophysical Research Communications. 255. 575-579 (1999)
-
[Publications] Fujiwara A: "Purification and characterization of M-177,a 177 kD allergen,from the house dust mite,Dermatophagoides farinae." Allergology International. in press.
-
[Publications] Inoue Y: "Effectiveness of vitamin A acetate for enhancing the production of lung cancer-specific" Cytotechnology. in press.