1998 Fiscal Year Annual Research Report
平滑筋におけるプロテインホスファターゼ2Aの生理的意義
Project/Area Number |
10770019
|
Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡辺 賢 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60191798)
|
Keywords | 平滑筋 / プロテインホスファターゼ2A / NMR / オカダ酸 |
Research Abstract |
脊椎動物平滑筋収縮蛋白系の機能及び構造に対するホスファターゼ2Aの生理的作用を明らかにし、ホスファターゼ2Aの細胞内存在部位を同定することを目的として、スキンド平滑筋標本を用いて機能的・形態学的検討を行った。 (1) 収縮実験:細胞内Ca^<2+>濃度調節系を破壊したモルモット結腸紐、門脈スキンド標本のミオシン燐酸化依存性収縮はホスファターゼ2A阻害によって抑制される。細胞骨格系が十分に保存されていない標本では、このホスファターゼ2A阻害による収縮抑制が観察されなかった。この結果から、ホスファターゼ2Aを介する細胞内情報伝達系は、細胞内骨格系と関係があることが示唆された。 一方、ミオシン軽鎖燐酸化によらない収縮張力発生はホスファターゼ2A阻害によって抑制されないことが明らかになった。すなわち、ホスファターゼ2Aはミオシン燐酸化過程の活性化維持に働いている可能性が示された。 (2) 微細形態実験:ホスファターゼ2Aの細胞内存在部位を同定するために、ホスファターゼ2Aの特異的な阻害剤であるオカダ酸のスキンド標本結合部位を免疫組織化学的手法を用いて検討した。共焦点顕微鏡像及び透過型電子顕微鏡像から、ホスファターゼ2Aは収縮蛋白系付近ではなく細胞膜近辺に局在する可能性が高いことが明らかになった。 (3) ^<31>P NMR実験:平滑筋エネルギー変換機構におけるホスファターゼ2Aの寄与を検討するためにスキンド標本の^<31>P NMR実験を行っている。今年度は予備実験として、ミオシン軽鎖燐酸化依存性収縮と非依存性収縮における細胞ATPase活性の比較検討を行った。ミオシン軽鎖燐酸化依存性収縮は非依存性収縮よりATP消費速度が高いことが示された。
|