1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムオキシゲナーゼアイソゲイムの細胞内局在の同定と生理機能の解明
Project/Area Number |
10770053
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
若林 良之 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10276214)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / ストレスタンパク / ビリルビン / CO |
Research Abstract |
平成8年度奨励研究Aにより作成したラットHO-1, -2に対する単クローン抗体のスクリーニングを行い、HO-1酵素活性を特異的に阻害する抗体を新たに作成した。本抗体はHO-2活性は全く阻害しないことから総HO活性におけるHO-1活性の割合を検証することが可能となった。そこで、HO活性が高いラット肝臓、脾臓の各細胞分画におけるHO-1,-2の発現について酵素活性測定およびウエスタンブロッティングにより検証を行った結果、HO-1が核およびミクロソーム分画に、HO-2がミクロソーム分画に存在することを明らかになった。これら結果は免疫組織染色によって既に得られている結果と矛盾しなかったことから、従来の報告で知られていた小胞体以外に、HO-1は核膜上にも発現していることが明らかになった。 次に、HO-1が核膜上に発現していることに着目し、NIH3T3cellおよびヒト角膜上皮細胞のHO-1,-2の高発現細胞株を用いて、HO-1が産生するビリベルジン、ビリルビンのラジカル消去作用を介して紫外線または過酸化物により生じるDNA傷害の防御機転となる可能性について検証を行った。DNA酸化修飾度をELISAを用いて測定することにより検証を行ったが、HO-1高発現細胞株において著名な防御効果は認められなかった。ところで、今年度の研究過程においてHO-1の生理機能に関する興味深い現象が偶然観察された。HO-1の高発現細胞株は、コントロールの細胞と比較して基質に対する接着性が著しく亢進しており、これら現象が酵素活性に依存せずに生じている再能性が平成10年度の研究結果から予想された。そこで平成11年度は、HO-1およびHO-2の生理機能の相違を明らかにすることに重点をおき研究を行う予定である。
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