1998 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞にアポトーシスを誘導する肝由来因子についての研究
Project/Area Number |
10770060
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
吉川 英志 山梨医科大学, 医学部, 助手 (20252025)
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Keywords | アポトーシス / T細胞 / 肝臓 |
Research Abstract |
マウス肝細胞由来のT細胞アポトーシス誘導因子の構造決定のために、マウス肝細胞の大量培養を行ない、種々のカラムクロマトグラフィーを用いてこの因子の精製を行なった。精製のそれぞれの段階におけるこの因子の活性については、マウス胸腺腫細胞を用いてのフローサイトメトリー及びDNAフラグメンテーションを指標に評価し、活性のある分画のみを次の段階へ使用することで精製を進めた。今後、精製された因子のアミノ酸配列を決定していく予定であるが、これに十分な量の精製因子を得るためにさらに多数のマウスおよび肝細胞の大量培養が必要となってきている。また、この因子によるT細胞アポトーシス誘導機構について、アポトーシス実行過程に大きく関わっていると思われるカスパーゼカスケードの関与を調べるため、広範なカスパーゼ阻害剤であるZ-VADを用いて検討した結果、この因子によるT細胞アポトーシスがほぼ完全に抑制されることから、このアポトーシス誘導因子の作用機構においてカスパーゼが重要な役割を担っていることが示唆された。現在、T細胞サブセットによるこの因子への感受性の相違についての実験を行なっており、すなわちナイーブTおよび活性化T細胞での感受性の比較を検討している。なお、来年度の計画の一部であったが、この因子に対するモノクローン抗体の作製について何度か試みたが、いままでにこの因子に対する中和活性をもつモノクローン抗体は得られていない。今後研究計画通り、この因子のシークエンスの決定、in vivoでの役割等について来年度以降明らかにしていく予定である。
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