1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770064
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮本 洋一 熊本大学, 医学部, 助手 (20295132)
|
Keywords | 一酸化窒素 / ニトロソチオール / α_1ープロテアーゼインヒビタ / 抗菌作用 / 感染防御因子 / 血管拡張因子 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト血中の主要なセリンプロテアーゼインヒビターであり、急性期蛋白のひとつであるα_1-プロテアーゼインヒビター(α_1PI)のNOによるS-ニトロソ化を、flow-reactor-HPLC法を用いて、アルブミン(HSA.BSA)およびグルタチオン(GSH)のそれと比較した。さらに、S-ニトロソ化-α_1PI(S-NO-α_1PI)に生物活性を血管拡張作用および抗菌作用に注目してα_1PIのNO発生剤によるinvitroニトロソ化反応は、HSA.BSAあるいはGSHと比較して約10倍の高い効率であった。さらに、NO産生が亢進したネズミチフス菌感染マウスマクロファージによるα_1PIのS-ニトロソ化の効率もHSAあるいはGSHと比較して10倍高かった。また、LPSを投与したラットの肝臓でα_1PIのS-ニトロソ化を確認した。S-NO-α_1PIはα_1PIとまッたく同じエラスターゼ阻害ならびにトリプシン阻害活性を保持していることを明らかにした。 S-NO-α_1PIはウサギ大動脈平滑筋を弛緩させ、その活性はS-NO-HSAおよびGSNOとほぼ同等であった。さらに、虚血再環流モデルにおいて、S-NO-α_1PIを投与することにより、臓器血流量が維持できることをレーザードップラー血流測定により明らかにした。一方、種々の細菌に対する増殖抑制効果を比較したところ、S-NO-α_1PIはS-NO-HSAあるいはGSNOの1/20あるいは1/500の低濃度、すなわち、数μMの濃度で抗菌作用を発揮した。 以上より、細菌感染に伴い産生されるS-NO-α_1PIが、局所で抗菌作用を発揮し、感染防御反応に寄与するとともに、組織循環を維持し、臓器保護作用を発現する可能性が示唆された。
|
-
[Publications] T Akaike,etal: "The Biology of Nitric Oxide Part6(eds.S.Moncada,N Toda,H.Maeda and E A Higgs)" Portland Press Ltd,London, 1 (1998)
-
[Publications] E Akizuki: "The Biology of Nitric Oxide Part6(eds.S.Moncada,N Toda,H.Maeda and E A Higgs)" Portland Press Ltd,London, 1 (1998)
-
[Publications] Y Miyamoto,etal: "Experimental Protocols for Reacitive Oxygen Species(ROS)and Reacitive Nitrogen Species(RNS)(eds,N.Taniguchti and J.M.C.Gutteridge)" Oxford University Press New York,Oxford, ((印刷中))
-
[Publications] T Akaike,etal: "Experimental Protocols for Reacitive Oxygen Species(ROS)and Reacitive Nitrogen Species(RNS)(eds,N.Taniguchti and J.M.C.Gutteridge)" Oxford University Press New York,Oxford, ((印刷中))
-
[Publications] T Akaike and Y Miyamoto: "Experimental Protocols for Reacitive Oxygen Species(ROS)and Reacitive Nitrogen Species(RNS)(eds,N.Taniguchti and J.M.C.Gutteridge)" Oxford University Press New York,Oxford, ((印刷中))