1998 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍及び炎症性疾患における熱ショック蛋白の発現と機能に関する病理組織学的研究
Project/Area Number |
10770085
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇於崎 宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10296246)
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Keywords | 免疫組織化学 / 骨肉腫 / ストレス蛋白 / 熱ショック蛋白 / リンパ節 / 制癌剤 |
Research Abstract |
【組織標本における発現の検索】 東大病院病理部に提出されたリンパ腫その他の炎症性疾患を中心にリンパ節材料を20例、胃癌・大腸癌各10例を選び、臨床情報や病理診断を整理した。東大病院病理部および帝京大学病院病理部に提出された過去の症例から骨肉腫計108例を抽出した。骨肉腫については、各施設で予後調査を行い、転帰、再発の有無、観察期間などの情報を得た。一方、免疫組織化学的染色に使う一次抗体を市販のものから選び、その染色態度を正常組織にて観察・検討し、ほぼ信頼しうる染色条件を得た。抗体はHSP27,HSP47,HSP60,HSP70,HSP90a,HSP90bの6つの蛋白に対するものである。HSP27,HSP60,HSP70ではこれらの蛋白の過剰発現が骨肉腫の予後不良と関連していることが分かった。その他の蛋白の発現や、リンパ節疾患、癌腫における発現は引き続いて検索している。 【培養細胞での検索】 3つの骨肉腫細胞株(SaOS2,HOS,NST)について、メントレキセート、シスプラチンを培養液中に加えて培養することで薬剤耐性株の作製を試みているが、まだ樹立に至っていない。今後はMNNGなど変異誘導剤による薬剤耐性獲得を試みる。また、これらの細胞に高温刺激(42℃,30分)を与えることで熱ショック蛋白の発現が起こることが知られている。Western blottingによる検索を試みているものの発現の増強をとらえることが出来ずにいる。反応の条件を適宜変更し、western blottingによる検索を行う予定である。培養細胞を使った免疫染色ではHSP27,HSP47などの陽性像を得ている。
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