1998 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病の動脈病変局所における病態解析、並びにウイルス発現の検討
Project/Area Number |
10770087
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 啓 東邦大学, 医学部, 助教授 (80216712)
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Keywords | 川崎病 / 冠状動脈炎 / CD4+リンパ球 / CD8+リンパ球 / マクロファージ / Bリンパ球 |
Research Abstract |
川崎病血管炎の特徴を再検討するため川崎病剖検例を用いた冠状動脈病変局所の浸潤細胞の詳細について免疫組織学的検討を試みた。 【材料と方法】 12川崎病剖検例(死亡時年齢:2カ月〜20歳。川崎病罹患〜死亡迄:10日〜17年)を対象とした。冠状動脈のホルマリン固定パラフィン包埋薄切切片に対しHE,EvG,AM,A1-B各染色と共に各種抗体(CD45,CD45RO,CD20cy,CD3,CD4,CD5,CD8,HAM56,HLA-DR,PCNA,Collagen Type-I,III,IV,V)を用い免疫組織学的検索を加えた。 【結果】 lymphocytes,macrophages:6病日-内弾性板断裂(+)、内膜から中膜へ向かうHAM56+(+)。10病日-汎血管炎(+)、HAM56+(+++)、内膜・中膜にCD3+≧CD20cy+、CD4+>>CD8+。17病日-動脈壁全層にHAM56+(+++)、CD3+≧CD20cy+、CD4+>>CD8+。23病日例-HAM56+(+++)、CD3+>>CD20+、CD8+>>CD4+。30,32病日-HAM56+(++)、CD8+>>CD4+、CD20cy+ごく少数。8カ月〜17年-8カ月例のみ浮腫性肥厚内膜にHAM56+散在。HLA-DR:6〜32病日例の大単核細胞、リンパ球、心内膜および筋層内小動脈の内皮細胞に陽性。8カ月例では肥厚内膜中に陽性細胞散在。PCNA:10〜32病日例の肥厚内膜に多数の陽性細胞。Collagen:6年以上の肥厚内膜にI、V型コラーゲンの染色性増強。しかし、サイトカイン(IL-1 β,TNF-α,IFN-γ,IL-12,TGF-β)、接着因子(ICAM-1,VCAM,ELAM-1)は一定した結果が得られず検索を断念した。 【要約】 川崎病血管炎はmacrophagesを主体とした炎症であるが、これに加え病変局所には早期にCD4+優位の、後にはCD8+優位のTリンパ球浸潤を伴う。さらに、早期にはB細胞も相当数出現していることが判明した。
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