1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性大血管障害の発症における細胞外マトリックス蛋白の糖化と脂質過酸化の役割
Project/Area Number |
10770089
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
孟 晶 福岡大学, 医学部, 助手 (50299567)
|
Keywords | 糖尿病 / 糖化 / 糖酸化 / 粥状軟化症 / 脂質 / 脂質過酸化 / 腎不全 / コラーゲン |
Research Abstract |
最近、老化や粥状硬化症および糖尿病合併症の発症、進展に蛋白質や脂質の糖酸化反応が注目されている。一方、脂質過酸化は粥状硬化症の発症に深く関与している。本研究は糖酸化反応から脂質が過酸化され、これが糖尿病性大血管障害を促進するという仮説を証明する研究である。そのために、生体内動脈以外の組織・での脂質過酸化と糖酸化反応の関係について検討した。まず、酸化反応の亢進がよくみられる慢性腎不全患者の皮膚を採集し,NaCl、ペプシン、コラゲナーゼ、NaOHの順で細胞外マトリックスコラーゲンを抽出した。各画分の糖酸化反応産物pentosidine量をHPLC及び蛍光測定法(励起波長3350m、蛍光波長385nm)で定量した。また、各画分の脂質過酸化産物malondialdehyde(MDA)をHPLC及び蛍光測定法(励起波長390nm、蛍光波長460nm)で定量し、糖酸化反応産物pentosidine量との相関性を分析した。 その結果、ペプシン、コラゲナーゼで抽出した皮膚コラーゲンの糖酸化反応産物pentosidine量は透析患者を含む慢性腎不全患者で著明に増加し、脂質過酸化産物MDA量との間に強い相関を認めた(Clinical Nephro1ogy Vol 55,1999 in publish)。このようなことから大動脈ても同じような変化、即ち糖酸化反応と脂質過酸化反応の亢進の存在する可能性は非常に高いことが示唆された。しかし、両者の因果関係はまだ不明であり、今後剖検例から得られた大動脈を用いまず粥状硬化巣での糖酸化反応の亢進の有無を生化学的、免疫組織化学的に確認する。さらに糖酸化反応から脂質過酸化を引き起す経路をin vitroで生化学的に検討する。その経路を解明することによって糖尿病血管合併症や動脈粥状硬化症の成因に勤しい知見が得られると考えられる。
|
Research Products
(1 results)