1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770090
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
坂元 亨宇 国立がんセンター, 研究所病理部, 室長 (40221270)
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Keywords | 肝細胞癌 / 肝内転移 / SCIDマウス / 細胞運動 / LPA / Rho / p160ROCK |
Research Abstract |
ヒト肝細胞癌培養細胞株を用いて肝内転移モデルを樹立し、肝内転移に関与する分子機構を解析した。ヒト肝細胞癌培養細胞株を免疫不全マウス正所に移植することにより、臨床的に認められるヒト肝細胞癌の浸潤・転移を模倣する動物モデルの作成を試みた。また、同細胞株のin vitroでの形態や運動能および増殖因子への応答性とin vivoの転移能との関連を検索した。12種類のヒト肝細胞癌培養細胞株をSCIDマウス肝被膜下に注入したところ5種類の細胞株で肝腫瘍が形成され、このうちLi7及びKYN-2株において門脈浸潤・肝内転移が認められた。これら2種類の高転移性細胞株は低転移性細胞株と比較してin vitroでの運動能の亢進が認められ、この細胞運動は血清もしくは1ysophosphatidicacid(LPA)による誘導、C3exoenzymeによる抑制を受けた。このことからこれら細胞株の運動能は低分子量G蛋白Rhoを介して制御されていることが示唆されたため、Rhoの下流でactin細胞骨格系を制御しているp160ROCKの機能促進型及び機能抑制型変異体をLi7細胞に導入し安定に発現しているクローンを樹立した。機能促進型変異体導入株のin vitroでの細胞運動は血清もしくはLPA非依存性に亢進を認め、一方機能抑制型変異体導入株ではこれらの存在下でも細胞運動は抑制されていた。また機能抑制型変異体導入株をSCIDマウス肝内に移植したところ明らかな肝内転移能の低下を認めた。以上Rho/p160ROCKシグナル伝達経路により制御されている細胞の運動能が肝細胞癌の肝内転移において重要な役割を果たしていることが示された。
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