1998 Fiscal Year Annual Research Report
RAP-PCR法を用いた腸管出血性大腸菌感染に対する腸管上皮細胞の発現遺伝子解析
Project/Area Number |
10770116
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 一路 大阪大学, 歯学部・口腔細菌学講座, 講師 (70294113)
|
Keywords | 腸管出血性大腸菌 / HEp-2 / RAP-PCR / DEC1 / CD68 |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌をヒト咽頭細胞株であるHEp-2細胞に感染させ、その細胞から経時的にRNAを抽出し、RAP-PCR法にて発現遺伝子の解析を行った.非感染時のコントロール細胞と比較して、感染後4時間の細胞のRNAを逆転写反応後、24種のプライマーを用いてRAP-PCRを行い、アガロースゲル電気泳動によって比較したところ感染時に有意に上昇していると考えられる12個のcDNA断片が得られた.このcDNA断片の塩基配列を決定し、データベースに対して比較したところ既存のシークエンスから2個、未知の遺伝子が4つ得られた.残りのcDNA断片に関しては、用いたヒトのデータベースとは相同性が認められなかった.未知の遺伝子断片に関してはノーザンブロットによってその発現量を確認したが、発現が認められなかったため、非特異的増幅産物であることが推察された.既存の2つのcDNA断片の発現を確認したところ、1つは軟骨細胞内でcAMPを特異的に上昇させたときに発現が上昇すると考えられているHLHタンパクの1つであるDEC1、もう一つは細胞表面の糖タンパクのひとつであるCD68であることが明らかとなった.DEC1は、核内転写因子の1つであることが推察されているが、その機能はほとんど解明されていないため、現在その発現が大腸菌感染時に上皮細胞系で特異的に発現が誘導されるものであるのかどうかあるいはテトラサイクリン発現制御因子を用いた組み替え細胞体を作製して、その機能を詳細に検討中である.
|