1998 Fiscal Year Annual Research Report
病原性酵母カンジダの倍数性変換と染色体再配列を制御する遺伝子の解析
Project/Area Number |
10770117
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
岩口 伸一 奈良女子大学, 理学部, 講師 (40263420)
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Keywords | Candida albicans / 染色体再配列 / 倍数性変換 |
Research Abstract |
日和見感染菌Candida albicansは通常二倍体として存在しているが、いくつか菌株では多倍数化した細胞の出現とそれに続く倍数性の減少すなわち倍数性変換が認められ、同時に染色体核型の変化を示す。C.albicansのSTN21株は倍数性変換を示し、さらに染色体再配列が認められる。同じ遺伝的バックグラウンドを持つSTN22株は二倍体で安定な染色体核型を示すので、STN21株では倍数性を制御する遺伝子に変異が生じたと考えられる。また、細胞融合実験からこの変異は劣性であることが示されている。 本研究では安定な二倍体を示す981株由来のゲノムDNAライブラリーをSTN21株に形質転換し、倍数性変換を制御している遺伝子を単離することを試みた。ライブラリーはURA3を選択マーカーとしてもつベクター上に構築されているので、まずarg4^-であるSTN21株からura3変異株を作成しなければならない。そこで、ARG4遺伝子によりURA3遺伝子を分断したURAブラスターを構築し、ura3変異株(STN21ul)を作成した。 STN21ulはSTN21株と同様に倍数性変換の性質を示した。STN21株、STN21ul株は四倍体細胞を集団中に含むためフロキシンB添加YPD培地上で赤色コロニーが生じ、二倍体であるSTN22株では白色のコロニーが現れる。そこで、コロニーの色をスクリーニングの際の相補性の指標として用い、STN21ul株の形質転換体の中から白色ないし薄いピンク色のコロニーを示すものを選び出した。このうちから13個の形質転換体を得ており、これらは親株よりもかなり生育速度が早く、白色のコロニーを示す。現在、形質転換体から相補したDNAを回収、その性状を明らかにしている。今後は、二倍体株STN22での相同遺伝子を破壊して倍数性変換が生じるかどうかを検証する。
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