1998 Fiscal Year Annual Research Report
海外からのウイルス侵入によるC型インフルエンザの生態変化
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10770128
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松嵜 葉子 山形大学, 医学部, 助手 (00292417)
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Keywords | C型インフルエンザウイルス / 分子系統樹 |
Research Abstract |
海外からのウイルス侵入によるC型ウイルスの生態変化を実証する目的で、次の2つの方向から解析を進めている。(1)C型インフルエンザのサーベイランスで分離されたウイルスの性状解析、(2)未解析の海外分離株8株の遺伝子解析。それぞれの解析から得られた平成10年度の成績を以下に要約する。 1. 1996年に分離された29株(山形/1〜20/96、宮城/1〜9/96)の抗原性を抗HE単クローン抗体によるHI試験で解析した結果、宮城/4/96、宮城/7/96、宮城/8/96を除く26株が、1981年に中国でブタから分離されたウイルス(P/B/81)と同じ系統(山形/81系統)の抗原性をもつことが明らかになった。 2. 1992〜93年に山形と仙台の両市で分離された16株の中で、山形/1/92、山形/1/93、宮城/5/93の3株の抗原性が、既知の3系統とは大きく異なり、未解析の海外分離株のうちサンパウロ/378/82と同じ抗原性を持っていた。今回、山形/1/93と海外分離株8株のHE遺伝子の全塩基配列を決定し、系統樹解析を行った結果、次のことが明らかになった。(1)山形/1/93とサンパウロ/378/82のHE遺伝子の違いは、18塩基(0.9%)であり、他の7株との違い(3.6〜7.2%)に比べ非常によく似ている。(2)系統樹解析から、山形/1/93とサンパウロ/378/82は同じ枝に入り、これまでになかった新しい系統に属している(サンパウロ/82系統と命名)。 3. 以上の成績から、山形、宮城地方において、中国及びブラジルからのC型ウイルス侵入が強く示唆されている。今後はHE以外の6つの遺伝子分節の比較を行い、より詳細に検討を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tada Y.: "Phosphorylation of influenza C virus CM2 protein" Virus Res. 58・1. 65-72 (1998)
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[Publications] Hongo S.: "Identification of a 374 amino acid protein encoded by RNA segment 6 of influenza C virus" J Gen Virol. 79・9. 2207-2213 (1998)
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[Publications] Hongo S.: "Influenza C virus CM2 protein is produced from a 374-amino-acid protein(P42) by signal peptidase cleavage" J Virol. 73・1. 46-50 (1999)