1998 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスミニゲノムを用いたウイルス複製機構の分子解析
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10770136
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
田中 良和 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 放射線医学研究部門, 研究員 (50291159)
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Keywords | C型肝炎 / ウイルス複製 / 分子生物学 |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染機構と発癌機序はいまだ解明されていないが、限られた細胞株でしか増殖できず同じ細胞株を用いてもウイルス株により感染複製効率が異なるという研究結果から、ウイルス複製を制御している細胞側因子およびウイルス側因子が存在するものと考えられる。今年度は、ウイルス複製を制御しているウイルス側因子を同定するため、ウイルス蛋白質発現誘導システムの確立とレポーター遺伝子をもつミニウイルスゲノムの構築を試みた。 RNA複製に不可欠なウイルス構成蛋白質を同定するためにHCVの各蛋白質をコードするcDNAをクローニングしCre/loxP発現ベクターに構築した。目的遺伝子をスイッチング発現させるために従来は組換えアデノウイルスによるCre蛋白質の発現系を利用してきたがアデノウイルス単独感染でも細胞に種々の影響を及ぼすため、これに代わるcre遺伝子の導入発現系が要求される。このためIMY細胞(HCV感受性細胞)を用いてcre遺伝子発現が可能な系を検討した。テトラサイクリンによるCre誘導発現系はテトラサイクリンにより強い誘導発現が可能であったが、テトラサイクリン非依存的に少量のcre遺伝子発現が認められた。一方、ヘルペスウイルスVP22融合蛋白質による発現系は、融合蛋白質を培養上清に加えると細胞に融合蛋白質が取り込まれ、一度核へ移行した後、培養上清中に再び融合蛋白質が分泌される系である。これにより細胞外からの遺伝子導入および発現が可能である。ヘルペスウイルスVP22-Cre融合蛋白質をコードする遺伝子発現ユニットを細胞に導入し一過性に発現させたところ、Cre蛋白質活性が認められた。今後、融合蛋白質によるHCV遺伝子発現の確認を行ない至適条件を確立する。
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