1998 Fiscal Year Annual Research Report
CD40リガンド遺伝子導入マウスを用いた成熟B細胞分化機構の解析
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10770138
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
饗場 祐一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (00273516)
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Keywords | B細胞 / CD40 / 遺伝子導入マウス |
Research Abstract |
B細胞上のCD40を介する刺激は、抗原受容体刺激によって誘導されるアポトーシスを阻害し、活性化、増殖を誘導する共刺激(costimulatory signal)として働くことが細胞培養系を用いて示されてきているが、生体内でもCD40を介する刺激が共刺激として働くかは不明である。この点を明らかにするため、通常T細胞が発現するCD40LをB細胞上で強制発現させたトランスジェニックマウスを樹立し、このマウスの免疫応答能を解析した。マウスCD40L遺伝子の発現がIgVHプロモーター、IgH鎖イントロンエンハンサーとIgk鎖3'エンハンサーにより調節されるコンストラクトを作製し、これをC57BL/6受精卵に注入しトランスジェニックマウスを作製した。得られたマウスの、骨髄、脾臓及びリンパ節細胞上でのCD40Lの発現を調べ、導入したCD40Lが末梢のB細胞に特異的に発現していることを確認した。このマウスの免疫応答能を調べるため、NP化したニワトリγ-グロブリンをalumをアジュバントとして腹腔投与した。2週間後の血清中のNP特異的IgM,IgGの量をELISAで測定したところ、ともに30から100倍程度増加しており、トランスジェニックマウスでは、IgGのみならずIgMの産生時においてもB細胞の免疫反応が亢進していることが示された。この結果により、CD40を介する刺激が、in vivoでB細胞が抗原により活性化される際の共刺激として働くことが明らかとなった。また、CD40を介する刺激が胚中心のB細胞の選択に関与するかを検討するため、このマウスの抗原刺激後の胚中心の形成能を調べた。トランスジェニックマウス脾臓で形成される胚中心は、正常マウスのほぼ1/10の大きさであることが明らかとなり、CD40を介する刺激が胚中心でのB細胞選択に関与することが示唆された。
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