1999 Fiscal Year Annual Research Report
チリ、イースター島住民にみられる重金属汚染の健康影響に関する研究
Project/Area Number |
10770153
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中平 浩人 新潟大学, 医学部, 講師 (40217758)
|
Keywords | 重金属 / 水銀 / 微量元素 / 毛髪 / 食事要因 / イースター島 |
Research Abstract |
イースター島島民の毛髪中重金属濃度(アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)が高いことが我々のpilot studyで判明し、昨年度インフォームド・コンセントが得られた健常な島民68人(男性21人:平均年齢30.0±12.55歳、女性47人:34.7±14.07歳;有意差なし)の毛髪中重金属及びその他の元素濃度分析を高周波誘導結合プラズマ質量分析法を用いて行った。その結果Al、Pb、Hg及びAgは依然高値を示す島民が認められ、またマグネシウム(Mg)、カリウム(K)、ヨード(I)及びチタン(Ti)も正常値より高いことが確認された。 今年度は、イースター島島民の毛髪中濃度にどのような因子が関与しているか、特に食事因子に注目して調査した。個人面接によって、昨年度と同じ健常な島民68人からライフスタイルについて情報を得た。特に食事内容について詳細に調査した。このライフスタイル調査結果と毛髪中重金属及びその他の元素濃度分析結果との関連を分析検討した。まず、性差が認められたのは、砒素(As)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)及びジルコニウム(Zr)であった。年齢との間に正の相関関係が認められのは、ルビジウム(Rb)とKであった。負の相関関係はストロンチウム(Sr)、Mg、バナジウム(V)、カルシウム(Ca)に認められた。Rb、クロム(Cr)及びKに喫煙係数と正の相関関係が認められた。Ethnic group間や毛髪美容による有意な差は認められなかった。また、飲料水源による差も認められなかった。 食事因子と相関係数rが0.3以上有意に認められた元素は、Hg、硫黄(S)、Ni、カドミウム(Cd)、リン(P)及びRbであった。そのうち、Hgと食事因子との関連が最も強く認められた。Hgは「fish」摂取(r=0.540,p=0.000)と強い相関(r=0.540,p=0.000)が認められた。その種類ではKokomas(r=0.435)とPisisigue(r=0.404)が有意であった。また、「meat」とも有意な相関(r=0.369)が認められた。重回帰分析の結果、「fish」との関連が最も強かった。Niは「spagetti」とCdは「cereals」と有意な相関を認めた。SとPは缶詰食品との関連を認めた。今後結果の再現性を確認し、島民の健康調査を行う必要がある。
|
-
[Publications] Nakadaira H. et al.: "Arsenic residues in well water 36 years after endemic arsenic poisoning."Archives Environmental Health. (in press). (1999)
-
[Publications] 中平 浩人 ら: "環境ホルモンとアレルギー性疾患"新潟医学会雑誌. 113(4). 118-194 (1999)
-
[Publications] Serra I. et al.: "Dimetilnitrosamina y antioxidantes: cancer vesicular experimental"Riv.Chil.Cir.. 50(5). 479-485 (1998)
-
[Publications] Nakadaira H. et al.: "Animal experiments for gallbladder and bile duct cancers in "Epidemiology of gallbladder and bile duct cancers""Smith-Gordon/Nishimura, London. 237 (1999)
-
[Publications] 中平 浩人 ら: "肝内胆管癌の疫学・肝・胆・膵フロンティア7肝内胆管癌"診断と治療社. 170 (1999)