1998 Fiscal Year Annual Research Report
脳内報酬系刺激による細胞性免疫の神経制御のメカニズムに関する研究
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10770160
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
川村 則行 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・心身医学, 室長 (60211869)
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Keywords | 外側視床下部 / c-fos / 報酬系 / 免疫増強 |
Research Abstract |
今年度の目標は、脳内の報酬系の中枢のうち、ラットに自己刺激行動を最も強力に誘発することが知られている外側視床下部に電気刺激を行い、脳内のいずれの領域に刺激が伝達するかを明らかにすることを目的としていた。最初に、文献通りに、この部位が、自己刺激行動(すなわち報酬行動)を示すか否か確認し、自己刺激行動時のNK活性の変化を測定した。その結果、この部位の刺激が、十分に自己刺激行動を誘発し、さらに、NK活性を上昇せしめることを示し、論文投稿し、受理された。さらに、覚醒状態で外側視床下部を、30分電気刺激したのち、一時間放置してラットを自由に行動させ、そののち、CO2にて窒息死させ、脳をとりだし、脳を固定し、切片を作成し、c-Fosの発現を調べた。 その結果、外側視床下部の電気刺激による興奮は、刺激したのと同側の脳半球の、medial prefiontal cortex(MPC),orbital, lateral septum(LS), lateral habenula (LHb),dorsomedial hypothalamus(DMH),nucleus accubence shell(NAC),paraventricular nucleus of the hypoythalamus(PVN)に多く,発現していた。対側の脳半球では、PVN,DMHにも、多く発現していた。これらの結果、外側視床下部から、上記の場所への刺激の伝達が行われていることが示唆された。次年度は、これらの情報をもとに、免疫増強に関与する脳内の神経伝達の機構を解明することを目的として実験を行う。
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