1999 Fiscal Year Annual Research Report
高齢障害者の呼吸機能と活動能力との関係についての研究
Project/Area Number |
10770162
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐竹 將宏 秋田大学, 医療技術短期大学部, 講師 (10250903)
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Keywords | 高齢者 / 呼吸機能 / 呼吸パターン / 理学療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢障害者において、呼吸機能を代表する胸腹部の柔軟性と身体活動能力との関係を明らかにし、理学療法プログラムの立案に何らかの示唆を与えることである。 対象は、高齢障害者36名である。平均年齢82歳、主な疾患は、脳血管障害19名、大腿骨骨折および関節症5名であった。身体活動能力は日常の移動能力を指標とした。独歩にて身のまわりのことが自立しているもの(能力A)10名、杖や車椅子を使用して身のまわりのことが自立しているもの(能力B)14名、移動も身のまわりのこともすべて介助されているもの(能力C)12名であった。 方法は、安静呼吸時の胸郭運動および腹部運動をレスピトレースを用いて測定し、呼吸パターンを検討した。姿勢は健常高齢者同様、仰臥位、座位、立位と変化させた。同時に、パルスオキシメ一夕による動脈血中の酸素飽和度を測定し、脈拍数を記録した。 結果、安静仰臥位における呼吸パターンは、胸郭運動に対する腹部運動でみると、能力Aで1.6倍、能力Bで2.3倍、能力Cで1.8倍であった。安静座位では能力Aで0.8倍、能力Bで1.5倍、能力Cで1.0倍、安静立位では能力Aで0.9倍、能力Bで1.2倍であった。動脈血中の酸素飽和度は98前後であり、姿勢による変化はみられなかった。また、脈拍数は仰臥位で最も少なく、座位、立位になると増加した(仰臥位で平均66bpm、座位で69bpm、立位で72bpm)。 身体活動能力の高い能力A群は健常者の呼吸パターンと似ていたが、能力が下がると姿勢による呼吸パターンの変化は余りみられず、胸郭運動に比べて腹部運動が大きいままであった。その理由のひとつに、胸郭運動の硬さを腹部の動きで補っていることが考えられるであろう。 今後は不足の点を補い、さらに症例を増やして検討していきたい。
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