1998 Fiscal Year Annual Research Report
繰り返しアンケート法から見た現病歴、家族歴の再現性と信頼性の研究
Project/Area Number |
10770167
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
朱 善寛 名古屋大学, 医学部, 助手 (10293705)
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Keywords | 再現性 / アンケート調査 / カッパ / 一致率 / 現病歴 / 家族歴 |
Research Abstract |
現病歴と家族歴の変化とその再現性を評価する目的で、同一対象者集団に対して同じ質問項目のアンケートを複数回実施した。なお、評価に際し、時間的変化が少ないと考えられる飲酒・喫煙習慣を再現性のレファランスとした。具対的には、40ー69歳の214名の対象者に対して、4回同じ質問のアンケートを実施した。質問内容は既往歴(脳卒中、糖尿病、心筋梗塞)、がんの家族歴(両親、兄弟姉妹)、運動、飲酒と喫煙、食習慣などであった。実施間隔は5.5年、4.5年、1年と2週間の4種類であった。各間隔に対応する既往歴、がん家族歴及び飲酒・喫煙習慣の回答の一致率をそれぞれ計算し、変化の有意差を検討した。この検討は無回答者を除外した場合と含めた場合の各々について行った。家族歴のがんは種類別に分けずに検討した。飲酒・喫煙習慣において以前の経験者は飲酒・喫煙習慣ありとして分析した。 結果:(1)無回答者を除いた場合ほ二疾患の既往歴の一致率は全ての間隔について100%から96%の高率であった。1年,4.5年,5.5年の間隔をおいた場合の一致率は2週問おいた場合の一致率と比べ有意差がなかったこれに対して、無回答者を含めた場合は、既往歴の一致率は4.5年と5.5年間隔では60%程度であり2週間間隔の約80%に比べて有意に低かった。(2)がんの家族歴の一致率変化の傾向は既往歴のそれとほぼ同じ(99%ー87%)であったが、無回答者を除外した場合でも、4.5年経つと一致率が有意に低下した。(3)飲酒・喫煙習慣共に1年以内の回答は95%以上の一致率を示し、4.5年以上経過しても90%を越す高い値を維持した。無回答者を含めた場合は含めない場合と比べて低下したが、既往歴、家族歴より高い一致率で推移した。1年以内に限れば、既往歴と家族歴の回答の再現性1力圀酉・喫煙とほぼ同等かそれ以上と考えられた。 同じ方法で、既往歴、家族歴と飲酒・喫煙習慣に対して、無回答者を除いた場合と含めた場合でそれぞれのカッパ値を計算し、変化の有意差を検討している。
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