1998 Fiscal Year Annual Research Report
日中両国中高齢者における食物に含んでいる抗酸化ビタミンの摂取状況に関する比較研究-寿命との関連-
Project/Area Number |
10770169
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
汪 達紘 岡山大学, 医学部, 助手 (90294404)
|
Keywords | 栄養素摂取 / 中高齢者 / 日本 / 中国 |
Research Abstract |
寿命の決定因子が複雑であるが、食因子が大きく関与していると思われる。近年、抗酸化ビタミンが重要なfree radical scavengerとして生化学的研究から老化との関連で重要視され、それによって動物の寿命が延長できたという結果が得られている。食物には天然の抗酸化ビタミンが含まれているので、それらの摂取量の差異によって老化の予防に差があるか否かを明らかにするため、生化学的だけでなく栄養疫学的に支持するデータがあることも望ましいことと思われる。本研究は、日本と中国の中高齢者を対象として日頃の栄養素摂取状態を比較検討した。方法としては、平成10年9月〜11月にかけて日本の岡山県と中国の上海市、太原市において、50歳から79歳までの住民を対象に連続する3日間の食事摂取調査(自記式、目安量法)を行った。なお、中国での調査は、上海医科大学・李〓講師の協力で行い、記載済の質問紙を日本に郵送してもらった。対象者の回答率は、日本では80.8%(250件のうち、202件)、中国では88.0%(250件のうち、220件)であり、記載が不十分であった者を除いて、有効回答は日本測では190人(76.0%、男性100人、女性90人)、中国側では166人(66.4%、男性84人、女性82人)であった。これに基づいて栄養素等の平均摂取量を求めた。群間比較については、t検定(両側検定)によった。結果としては、1日当りの栄養素等の平均摂取量については、男女ともに、食物の品目、総エネルギー摂取量、糖質、食物繊維、ビタミンB_2(p<0.01)、特に食物に含まれている抗酸化ビタミン(ビタミンA、ビタミンC)の摂取量は日本のほうが有意に高かった(p<0.001)。鉄の摂取量は男女とも中国のほうが有意に高かった(p<0.001)。エネルギーの栄養素別摂取構成比(PFC比)については、日本に比べて、中国のほうが男女ともに蛋白質及び脂質エネルギー比が有意に高く、糖質エネルギー比が有意に低かった(p<0.01)。アルコールエネルギー摂取量については、日本のほうが男女ともに有意に高かった(p<0.01)。今後両国の地域による食事の差異及び季節による食事の変化についても比較検討を続けたい。
|