1999 Fiscal Year Annual Research Report
日中両国中高齢者における食物に含んでいる抗酸化ビタミンの摂取状況に関する比較研究-寿命との関連-
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10770169
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
汪 達紘 岡山大学, 医学部, 助手 (90294404)
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Keywords | 栄養素摂取 / 中高齢者 / 日本 / 中国 |
Research Abstract |
近年、活性酸素が老化やがんを始めとする種々の疾病の発症に関与することが次弟に明らかになり、活性酸素の抑制や除去の可能性に関心が持たれている。食物には天然の抗酸化活性を有する物質としては、ビタミンCやβ-カロチン等がよく知られている。老化の予防という視点から、平均寿命に大きな差がある日本と中国の国民の日頃の栄養素摂取特に食物から摂取した抗酸化ビタミンの量に関して差異があるか否かを明らかにする必要がある。本研究は、日本と中国の中高齢者を対象とし、日頃の栄養素摂取状態汲び余生活を調査し、両国の都市部における食生活習慣での異同を比較検討した。方法としては、平成11年6月〜9月にかけて日本の沖縄県都市部と中国の北京市において、50歳から79歳までの住民を対象に連続する3日間の食事摂取(自記式、目安量法)及び生活習慣調査を行った。結果としては、対象者には現在喫煙者(沖縄県都市部:男性45.8%、女性4.3%;北京市:男性43.5%、女性3.9%)、飲酒者(沖縄県都市部:男性75.0%、女性47.8%;北京市:男性68.7%、女性34.3%)及び運動習慣者(沖縄県都市部:男性50.0%、女性39.1%;北京市:男性62.6%、女性59.8%)の割合は、男女とも地域間に有意差が見られなかった。1日当りの栄養素等の平均摂取量については、男女ともに、蛋白質、糖質、脂質、食物繊維、ビタミンB^1(p<0.01)、特に食物に含まれている抗酸化ビタミン(ビタミンA)の摂取量は沖縄の中高齢者のほうが有意に高かった(p<0.01)。鉄及びカルシュウムの摂取量は男女とも北京市の中高齢者のほうが有意に高かった(p<0.01)。エネルギーの栄養素別摂取構成比(PFC比)については、両地域の中高齢者とも脂質エネルギー比が高く、25%以上を超えました。食生活に関して、食品項目に少なくとも週1回以上摂取すると答えた者の割合は、北京群は沖縄群に比べて、おかゆ、豚肉、羊肉、ソーセージ/ハム、豆乳、あめ/キャンディが有意に高く、パン、イも類、豆腐、卵、海藻類、種実類、生野菜、調理済み緑黄色野菜、コーヒー、チーズ類、ヨーグルト、フルーツジュース、バター/マーガリンが有意に低値を示した。本研究では、両地域の中高齢者で食生活習慣に違いが見られ、今後、さらに両地域における中高齢者の食生活習慣の違いからくる疾病構造の特徴などの解明を試みたい。
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[Publications] 汪達紘、李、吉良尚平: "日中両国中高齢者の栄養素摂取に関する比較研究"日本衛生学雑誌. 54・1. 98 (1999)
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[Publications] Da-hong Wang, Jiong Li, Shohei Kira: "A comparative study of dietary intake among urban Japanese and Chinese aged 50〜79"Environmental Health and Preventive Medicine. 5・1(掲載予定). (2000)
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[Publications] 汪達紘、有泉誠、正富千絵、関 明彦、吉良尚平: "沖縄県都市部と中国北京市中高齢者の食生活に関する比較検討"日本衛生学雑誌. 55・1(掲載予定). (2000)