1998 Fiscal Year Annual Research Report
キメラ型抗接着分子抗体の自己免疫疾患への臨床応用に関する検討
Project/Area Number |
10770203
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
高橋 裕樹 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00264523)
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Keywords | ICAM-1 / キメラ型抗体 / サイトカイン |
Research Abstract |
本研究では,当教室で作製したキメラ型抗ICAM-1モノクローナル抗体(cHA58)を用い,cHA58がICAM-1やサイトカイン産生に及ぼす影響について検討を加えた. 1) ICAM-1の発現に対するキメラ型抗ICAM-1抗体の効果 cHA58投与後,大腸癌細胞培養上清中のsICAM-1抗原量が有意に低下することが確認された.次にRT-PCR法・ノーザンブロット法によりICAM-1遺伝子の発現レベルを検討したところ,投与群においてmRNAレベルの低下を認めた. 2) 各種サイトカイン遺伝子の発現におよぼすキメラ型抗ICAM-1抗体の効果 RT-PCR法を用いてTNFα,IL-1β,IFNγ,IL-15,およびIL-15レセプター(IL-15R)のmRNAレベルでの発現量を検索した.単球系細胞THP-1においてTNFαとIL-1βの,またリンパ球系細胞JurkatにおいてIL-15の軽度の発現上昇が認められた. 以上より,抗ICAM-1抗体がICAM-1の発現を蛋白レベル・遺伝子レベルで低下させうることが明らかとなり,その情報伝達経路の詳細は不明であるが,抗ICAM-1抗体と細胞表面上のICAM-1抗体との結合後,何らかのシグナルが細胞内に伝えられ,ICAM-1の発現低下がもたらせられるものと考えられた. 一方,抗ICAM-1抗体がICAM-1発現低下を惹起しうる作用機序のひとつとして,ICAM-1の発現増強因子である炎症性サイトカインの産生を制御しうる可能性を考慮し,RT-PCR法により検索を行ったが,有意な発現の変化はみられず,少なくとも抗ICAM-1抗体の直接作用によりこれらサイトカインの発現が変動することは否定的と考えられた.またIL-15,およびIL-15Rの発現に対する抗ICAM-1抗体の効果もあわせて検討したが,有意な発現の変化は認められなかった.
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