1998 Fiscal Year Annual Research Report
老齢個体における生体防御機構の解明-特に自己細胞反応性T細胞を中心とした機能解析
Project/Area Number |
10770215
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Research Institution | Kitasato Institute |
Principal Investigator |
小林 憲忠 北里研究所, メディカルセンター病院, 研究員 (70290963)
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Keywords | 自己反応性 / 老齢 / 自己抗原 |
Research Abstract |
平成10年度は、BALB/c老齢マウスのリンパ節由来T細胞(Aged-LNT)を中心に解析を行った。 自己細胞に反応するAged-LNTの特徴(細胞表面分子を中心とした解析):細胞刺激因子として、BALB/c老齢マウスの牌細胞、同マウス牌細胞より抽出した可溶化蛋白抗原、BALB/c若齢マウスの牌細胞、または同マウス本来、牌細胞より抽出した可溶化蛋白抗原を用いて、Aged-LNTと5日間混合培養(MLC)を行った。MLC後の生細胞を回収し、フローサイトメーターにて細胞表面分子を中心に解析を行ったところ、従来我々が報告しているCD4^-CD8^-γδT細胞(N.KOBAYASHI et al,Immunology 1994)以外にCD3^+CD4^+αβT細胞およびCD3^+TCR^-細胞の存在を認めた。さらにこれら3種類の自己牌細胞に反応する細胞は、CD69およびCD28はいずれも陰性であった。 aAged-LNTの抗原応答性:上記4種類の細胞刺激に対するAged-LNTの抗原応答性を[^3H]-Thymidineの取込量を指標として測定した。aged-LNTは同系老齢マウスの牌細胞に対してのみ抗原応答性を示し、同系若齢マウスの牌細胞に対しては抗原応答性を示さなかった可溶化蛋白抗原に対するAged-LNTの抗原応答性に関しては、牌細胞に対する抗原応答性と異なり、同系老齢マウス牌細胞由来可溶化蛋白抗東には反応せず、同系若齢マウス牌細胞由来可溶化蛋白抗原のみに応答が認められた。この結果より、Aged-LNTにより認識される自己抗原は、加齢により細胞内から細胞表面に発現している可能性が示唆された。 自己抗原の解析:Aged-LNTの抗原応答性の結果において、抗原である同系マウスの牌細胞に加齢による差異が示唆されたことより、SDS-PAGE法およびFF-HPLC法を用いて蛋白質の解析を行った。主要な蛋白バンドととして48.0kD、33.0kd、12.0kDおよび8.6kDの4つを検出した。4種類の蛋白バンドのうち33.0kDの発現は、若齢マウス牌細胞由来可溶化蛋白抗原の方が、老齢マウス牌細胞由来可溶化蛋白抗原に比べて多く認められた。一方、他の3種類の蛋白バンドの発現に関しては、週齢の違いによる差異は認められなかった。 以上の結果より、老齢個体における自己細胞反応性T細胞は、大別して3種類存在することが判明した。さらに、可溶化蛋白抗原中に含まれる33kDの分子が自己抗原と何らかの関係があることが示唆された。またこの33kDの分子は、その発現に関して加齢と関係があることが推測された。平成11年度は、自己細胞反応性T細胞のクローン化および可溶化蛋白抗原に対するモノクローナル抗体の作成を行い、自己細胞反応性T細胞のクローンレベルでの詳細な解析を行う予定である。
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Research Products
(1 results)