1999 Fiscal Year Annual Research Report
plasmidを用いたIL-10遺伝子の大腸粘膜導入による大腸炎の抑制
Project/Area Number |
10770235
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
坂 充 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70271153)
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Keywords | TNB誘発ラット大腸炎モデル / 遺伝子導入 / 免疫活性作用(immuno stimulatory sequence) |
Research Abstract |
pCMV-IL10をラット大腸粘膜に導入した後トリニトロベンゼンスルホン酸(TNB)を経肛門的に注入し,TNB誘発大腸炎モデルを製作したところ,pCMV-IL-10未導入大腸炎モデル群と比較して病変の増悪が認められた。pCMVは非メチル化CpG motifを有するplasmidである。非メチル化CpG motifは微生物由来のDNAで、哺乳類のリンパ球/単核球に直接作用し、免疫が活性化されることが明らかにされ、その塩基配列はimmunostimulatory sequence(ISS)と呼ばれる。このことからpCMVの有する非メチル化CpG motifすなわちISSが病変を増悪させたと考えられた。そこでISSを多く含むplasmidであるpACBとISSを失活させたメチル化pACB(mpACB)をラット大腸粘膜に導入した後TNB誘発大腸炎モデルを作製した。plasmid未導入群とmpACB導入群とpACB導入群で病変の肉眼的評価を点数化すると,それぞれ3.23±1.64,3.57±1.81,4.38±1.19で各群間に有意差を認めなかった。組織学的評価では,それぞれ4.92±3.14,6.28±3.19,7.53±3.28でplasmid未導入群とpACB導入群の間に有意差を認め(p<0.05),pACB導入群で病変の増悪を認めた。さらにISSの導入による炎症性サイトカイン産生の増加が病変の増悪と関与するかについてmpACB,pACB,CpGオリゴヌクレオチドおよびグラム陽性球菌DNAをラット大腸粘膜に導入した後TNB誘発大腸炎モデルを作製し,大腸粘膜局所のTNFαを測定した。TNFα値は未導入群で7219.5±702.2pg/1/gで、mpACB,pACB,CpGオリゴヌクレオチドおよびグラム陽性菌DNA導入群ではそれぞれ25616.3±14015.1pg/1/g,91579.7±94439.1pg/1/g,43556.2±18965.3pg/1/g,84039.8±76969.3pg/1/gであり,未導入群とpACBおよびグラム陽性球菌DNA導入群の間に有意差を認め(p<0.05),pACBおよびグラム陽性球菌導入群でTNFαが高値であった。 以上から1)ISSによる腸管粘膜でのTNFα産生の増加が大腸炎モデルの病変の増悪に関与する。2)慢性炎症性腸疾患に遺伝子を導入する場合は,ISSの少ないplasmidを用いる必要があることがわかった。
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