1999 Fiscal Year Annual Research Report
炎症からの発癌。潰瘍性大腸炎からの大腸癌発癌機序の分子遺伝子学的解析
Project/Area Number |
10770251
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
久松 理一 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (60255437)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / colitic cancer / differential display / interferon inducible gene |
Research Abstract |
我々は潰瘍性大腸炎を母地として発症した大腸癌患者の非癌炎症部と癌部におけるmRNA発現をdifferential dysplay法を用いて検討し両者間で発現に差を認める遺伝子をスクリーニングした。現在までに34本をsubcloningし塩基配列を決定しているがこの中で1型および2型IFNで誘導されるIFN inducible gene 1-8Uが潰瘍性大腸炎を母地とした癌組織に強発現していることを確認した。さらに同遺伝子はsporadicな大腸癌および大腸癌細胞株にも発現し、正常大腸粘膜にはほとんど発現のないことも判明した。同遺伝子が潰瘍性大腸炎における慢性炎症から大腸癌発癌過程へどのように関与しているかを臨床的に検討するため、潰瘍性大腸炎患者の大腸粘膜における同遺伝子の発現をみたところ、いわゆるリスクファクターとされる炎症所見の激しい潰瘍性大腸炎患者に発現し、良好にコントロールされた緩解患者では発現が有為に減少していた。この結果はCancerResearch59,5927-5931,December1,1999に発表された。潰瘍性大腸炎では大腸粘膜は持続的にIFNγやinterleukinなどの炎症性サイトカインに曝露され続けておりこのことが発癌に大きく関わっていると考えられているが、慢性炎症から発癌にいたる機構は解明されておらず、そのリスクファクターの選別も臨床経過に頼るしかないのが現状である。そこで我々は現在、同遺伝子が潰瘍性大腸炎患者における発癌のpredictive markerとなりうるかをprospectiveに観察するとともに、in vitroにおいて同遺伝子が細胞周期や細胞増殖能に与える影響を検討中である。 <学会発表>日本消化器病学会総会 1997年4月,日本癌学会総会 1997年9月,全米消化器病学会 1997年5月日本消化器病学会 パネルデイスカッション 1998年11月,大腸肛門病学会シンポジウム 1998年10月 日本消化器病学会 シンポジウム 1999年10月 Crohn's & Colitis Fundation of America Colon Cancer In IBD : Science and Surveillance 2000年3月
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